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2011年1月19日 (水)

山の書籍の一気買い

世界最大級の本の街・神保町で打ち合わせの後、古本屋を含む、書店めぐり。
神保町は僕が以前勤めていた出版社があるので、昔からなじみのある街。
今も仕事の打ち合わせで出かけることが多く、
そのついでに毎月1回くらいのペースで
山の本に強い書店を中心にチェックを重ねているわけです。
いつもはとくに当てもなく、偶然見つけた本を買うだけなのですが、
今回は明確にお目当ての本が1冊ありました。

それが、新谷暁生『骨鬼の末裔』。
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新谷さんは、野田知佑とともに僕の尊敬する人。
冬はニセコで雪崩情報を発信し、春から秋は知床でカヤックのガイドをしています。
僕はもう6~7年、毎年、新谷さんといっしょに
知床エクスペディション、もしくは知床シーカヤックシンポジウムとして、
定住者皆無の知床岬をカヤックでめぐっているのですが、
この人は書くものもすばらしく、山と海に関する独自の主張が
強烈な意思をもって表現されています。この本は新谷さんの4冊目。
掛け値なしに、僕が今、もっとも著作を読みたい人なのです。

ちなみに、新谷さんは『岳人』という山雑誌で、先月号から連載を開始しています。
これも必見。それにしても、新谷さんに連載を頼むとは、やるな、『岳人』。

この本はまだ書店にはほとんど並んでおらず、
僕は友人の大内くんがいる、ICI石井スポーツのブログを見て、
ICIに入荷したことを知り、そこで購入いたしました。
ここの書籍売り場も充実してますよ。

あとは偶然発見したものや、買うか買わないか迷っていて、結局買った本のみなさん。

ジョン・ガイガー『奇跡の生還を導く人~極限状態の「サードマン現象」』。
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サブタイトルの「サードマン」というのは、例えば遭難者が瀕死の状態に陥ったときに
現れるという“現実には存在しないはず”の第三者。
登山家が超高所で死にそうになったときに現れ、
正しい方向に導いてくれたり、励ましてくれたりするという“実話”は、
ラインホルト・メスナーはじめ、これまでに数々の本で描かれてきたのですが、
その不可思議な超常現象について考察した本です。
買ったばかりなのでまだ読んではいないのですが、
斜め読みレベルでも確実に面白いことはすでにわかっております。昨年の発行。

吉沢一郎『このさき危険』。
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45年前に発行された山岳パトロールの本。
話では聞いたことがある有名な山岳事故の話の詳細がわかり、まあまあ面白そうです。

木村殖『上高地の大将』。
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わりと有名な本なのですが、僕は未読だったので、やっと購入。
上高地の主といわれた人が書き、古きよき時代のエピソードが満載。

山渓文庫のアルペンシリーズ(ガイド)。
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50年近く前のガイドシリーズで、どれも北アルプス。
昔のガイドブックは、今は廃道と化したルートの詳細がわかったり、
当時の山歩きの雰囲気が伝わってきたりと、
今見ると参考になることが多く、僕は可能な限り集めています。
このなかで、じつは『黒部峡谷と雲ノ平』だけは以前買ったものですが、
シリーズがそろってきたので、うれしくなっていっしょに撮影してしまいました。

同じく山岳ガイドブックの『白馬岳と後立山』。
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これは30年弱前のガイドですが、やはり今の山岳書にはない内容があり、
僕のようなアウトドアライターには勉強になります。

エアリアマップ『谷川岳』。
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現在も発行されている大メジャー山地図シリーズの、30年前のもの。
地図をじっくり眺めていると、昔のガイドと同じ意味で新鮮な発見があります。

僕は昔の山の地図を多量に集めていて、
大日本帝国陸地測量部が作った80年以上前の地形図もけっこう持っています。
陸地測量部というのは、昨年の映画『剱岳~点の記』で、
浅野忠信さんが演じた測量官がいた役所のことですね。

伊藤正一『白夜のフィヨルド』。
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伊藤正一さんは、今回紹介した『黒部峡谷と雲ノ平』の著者でもありますが、
それ以前に北アルプス・三俣山荘のご主人で、
山の方面では、僕がもっとも興味をもっている人。
これまで実際に何度も話を聞いているうちに、
伊藤さんの本はすべて集めたくなり、これは山の本ではなく、
ノルウェーのフィヨルドの写真集(30年前)なのですが、発見⇒即購入、という次第。

新刊本で、セオドア・グレイ『世界で一番美しい元素図鑑』。
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アウトドアとはあまり関係ないけれど、ずっと手に入れたかった本を、とうとう購入。
表紙で想像できるように、これ、ビジュアルがすばらしいんです。
北アルプスの山奥でもさかんに採掘されていたモリブデン、
アウトドア用具で多用されるチタン、
ゴアテックスの素材のひとつであるフッ素、
ウェアの消臭効果がある銀など、
間接的にアウトドア話につながる話も多く、今後の僕の原稿に活きるかも。

こんな感じで、10冊以上の本を購入。
昔からこんな勢いで本を買い、山の本だけで月に20冊近くは増えている計算で‥‥。
ぜんぶ読んでいるわけではないですが、
必要なときにすぐ見られるような状態にしておくのが、
アウトドアライターの仕事には大事なのだと思い、
本代はいくらかかっても仕方ないとあきらめております。
でもまあ、仕事でもあるけれど、なによりとにかく読んでいて面白いですしね。

ライターの仕事の情報源として、もっとも大切なのは
なによりもまず、「自分で直接見たり聞いたりしたこと」。つまり取材。
そして次に大事なのは、「古い書籍や資料」なのではないかと思います。
もう亡くなった人には、今となってはどうしたって話が聞けないし、
すでに存在しないものは自分の目で確認しようがないですからね。
今の時代、インターネットで拾えるような情報ばかり書くようでは
雑誌メインのライターとしては失格。
あまり人が読んでいない古書に面白いことが書いてあったときは、
インターネットで検索し、その情報が一切ネット上に流れていないことを知ると、
ものすごくうれしかったりして。そういう情報が、ライターの財産になっていくんです。
山の歴史や文化もそうですが、最新のアウトドアギアの話も同じことで、
できるだけ一般には知られていないことを原稿に盛り込むように考えています。
わりと知られている情報でも、それらの組み合わせ方や書き方でも
けっこう違うものに見え、それはそれで有用なんですけれど。

さて、最後にこの古書も。星勲『西表島の民族』。
歴史とともに伝説などにも触れられています。
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じつは明後日からこの島に行ってまいります。
これを読めば、毎年のように通っている西表島のことに、
もっと詳しくなれるはず。
この書籍をはじめ、重い本ばかりですが、
西表島には今回買ったこれらのなかから数冊持っていくつもりです。

そういえば、このブログにもよく登場するライター仲間の森山伸也くんが、
偶然にもこれと同じような本の話題をブログでアップしているのを発見。
しかも、2冊かぶっているし。
彼とは昨日も神保町でいっしょに打ち合わせをしたのですが、
どうも同じような書店めぐりの行動をしているようで。面白いものです。

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コメント

山の書籍、とても参考になります。
それにしてもライターのお仕事というのは大変なんですね。
インターネット社会が普及してしまっても毎月本を20冊購入とは…。文章も山も探究心が大事なんですね。
個人的に新谷暁生著『骨鬼の末裔』がとても気になりました。探して読んでみたいと思います。

明日から西表島に行くんですね。向こうは雪の心配はないんですよね。羨ましいな。私の住んでる青森は…。もう、雪、雪、雪で。雪かきが上達しました(笑)

どうぞ気をつけて行ってきてくださいね。

投稿: まいち | 2011年1月20日 (木) 12時52分

まいち様

新谷さんの本、読み終わりました。
期待通り、面白かったです!
僕の周囲のライター連中も同じようにさっそく読み、
売り切れでまだ買えていない者は入荷を待っているところ。
『骨鬼の末裔』がすぐに手に入らないようでしたら、
以前の3冊でもかまわないので、読んでみてください。
どれも間違いなくすばらしいです。

投稿: 庄太郎 | 2011年1月31日 (月) 20時54分

若いころ、山に登っていたころ山の名著(茗渓堂が中心)をたくさん買い込んだ、今73歳となりこれらの本をどう処分しようか考えています。古本屋に一括買い取ってもらうのはしたくない、他にいい方法がないものかとネットで情報を調べています。

投稿: 村瀬 駿 | 2014年2月 5日 (水) 15時50分

村瀬駿さま

古い本をどうするのかは、難しい問題ですね。
よほど貴重なものであれば図書館も受け取ってくれるでしょうが、そういう本はあまりないようですし。

僕なら、やはり古本屋に売りますよ。
ただ、普通の古本屋ではなく、山岳書を専門的に扱っているところに。
僕自身、そのような古本屋で山の資料を探しているので、
けっして無駄になるとは思いません。
きっと、いずれ山好きの人の手に渡る野ではないでしょうか。

投稿: 庄太郎 | 2014年2月 8日 (土) 16時30分

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