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2011年2月17日 (木)

八重山諸島・西表島1人旅-2/無人の南海岸・後編

「前編」を書いてからすでに8日、旅に行っていたのは3週間前と、
アップするのが非常に遅くなっていますが、
西表島の南海岸を歩いたときの話の「後編」であります。

「前編」では、コース最大の「難所」の1歩手前で話を中断していました。
Img_0253
というわけで、この写真の中央左・奥の岩壁、ここをクリアできるかどうかが、
今回の海岸トレッキングの成功を左右する場所です。

西表島の南海岸は、ほとんどが岩場か砂浜なのですが、
ここだけは岩場というより岩「壁」。
完全に海から切り立っていますが、潮が引いているときはリーフの上を
できるだけ進んでいって、あとは少しだけ「泳ぐ」ことで先に進めるのです。
干潮なら泳ぐ距離は10mにも満たないとはいえ、
キャンプ場で会った人いわく「サメが泳いでいる姿がよく見られる」とのこと。
もしくはその手前から岩壁を登る、巻き道でも行けないことはないという情報でした。

だけど、近づくにつれて、なんだか嫌な予感が。Img_0266
すぐ目の前に突き出ている岩場まで進めば難所はクリア。
だけど、この日の天気予報では「強風波浪注意報」が出ていて‥‥。
激しい波が岩にぶち当たり、僕の身長を軽く越える高さまで飛沫を上げているんです。
この波に巻かれたら、泳ぎが不得意な僕はおぼれること間違いなし。
しかもサメがいるかもしれないのに、水中の様子なんてわかりません。

なので、海から先に進むことは完全に諦めて、岩壁を登ることを考えました。
Img_0270
この岩にはザイルが残されていると聞いていたのですが、それはどこに?
上のほうをよく見ると、白っぽいロープがあるような気も。
じつはザイル(というか単なるロープ)はすでにブチ切れており、
高さ20mほどの岩のうち、上部4~5mくらいしか使えそうなロープは見当たりません。
その残っている上の方だって、おそらく体重をかけると切れちゃうでしょう。

だが、手や足をかけるホールドはいくらでもあるので、とりあえずトライ。
しかし‥‥。見た目はラクそうな岩なのに、滑ること、滑ること。
今回のブーツは岩よりも水場に適したものなので、
ますますズルズルと滑ってしまうのです。
とりあえず、この写真中央の丸い穴のある場所までは登ったのですが、
それ以上がどうしても進めず、仮に進めたとしても、
帰りには下ることはできないと判断。
だって、どんな岩場でも、登るよりも下るほうがはるかに難しいんですから。
実際、途中まで登ったポイントからもとにいた海まで下りるのも、やっと。
マジで死ぬか、もしくは滑落して頭でも割るんじゃないかと思いました。
これなら、昨年行った槍ケ岳・北鎌尾根のほうが圧倒的にラク。
もちろん、北鎌尾根は複数のメンバーだったし、
準備も万端だったからというのもありますが。

遊びにきた場所で事故を起こしては仕方ないので、
これにて今回のトレッキングはここまで。ああ、残念無念。
Img_0273
目指していた鹿川湾の砂浜があそこに見えるけど、また来ればいいや。

岩壁の安全地帯まで下り、後ろを振り返ると
これまで歩いてきた海岸の一部が見晴らせました。
Img_0273_2
さて、来た道を戻りつつ、今日の寝場所を考えないと。

しかしまあ、潮が完全に引いちゃって、足を濡らさなくても
リーフの上を歩けるようになっちゃいました。
Img_0284
このリーフの潮だまりには、いろいろな生物の姿が。

Img_0281
おそらくジャノメナマコ。
食えるのかもしれませんが、手で触って観察してから逃がしました。

Img_0275
こんな貝もちらほら。名前はなんだったっけ?

Img_0282
魚もけっこういるのですが、動きが速すぎて写真には撮れず。
唯一撮影できたのは、のんびりした青い小魚のみ。しかもこれだけ遠くから。
そういえば、前に西表島に来たときは、
体長50㎝くらいのイソガツオを釣って、いい気になったことがあります。

こんなリーフで道具も持たない僕でも、たくさん捕れたのは、
やたらカラフルなシャコの一種。岩の隙間に追い込んで、
捕まえては殻をはがして、海水の塩味だけで食ったのですが、なかなかのおいしさ。
でも手がベタベタでカメラは使えないし、捕獲⇒食うのに夢中になってしまい、
写真には残っていません。なんとか撮っておけばよかった。

そんなことをしているうちに、夕方が近づいてきました。
当初は「前編」の最後の写真の岩のあたりで寝ようとしたのですが、
そのあたりはなんとなく不気味な雰囲気がして、さらに先へ。
結局、これまた「前編」でも写真に使っている小さな川のところで寝ることに。
Img_0307
念のため、シェルターは持っていっていたのですが、
原則としてはキャンプ禁止に当たる場所ということもあり、
マットと寝袋だけでのビバークで済ませることにしました。
まあ、キャンプ禁止といっても、
それはこの周辺の島には数ヶ月も長期滞在しかねない人がいるからで、
実際は僕のような歩き旅の人には島の人もうるさいことはいわないどころか、
むしろいろいろと有益な情報を教えてくれるくらいなのですが。

しかし、1月だというのに、さすが八重山諸島、これでもぜんぜん寒くありません。
Img_0300
沖には仲御神島。岩だらけで上陸困難という無人島ですが、一度行ってみたい場所。

Img_0330
雨が降らないといいなあ、と思いつつ、ショートパンツでゴロゴロとリラックス。

買える食材も限られていたので、メシは気楽にレトルトのカレー、
サバの味噌煮の缶詰、ポタージュスープ。
カレーの具に追加したのは、初の組み合わせとなる長ネギ。
この組み合わせはどうかと思いましたが、意外とうまかったです。
Img_0331
ひとりでラッパ飲みしていた泡盛「八重泉」も少なくなってきました。

そんなこんなで、波の音を聞きながらの一晩。
寒くはないのだけど風が強く、顔に砂がふりかかってくるのだけは、けっこうつらくて。
起きて頭を触ったら、砂でザラザラになっていてひどいものでした。

翌日は同じ海岸をただ戻るだけなので、ほぼ省略。
だけど、前日にはなかった足跡を発見。
Img_0341
おそらくイリオモテヤマネコ。
西表島には、こんな足跡をもつ哺乳類は他にいないはず。
きっと夜のうちに、海岸でエサをあさっていたんでしょうね。

というわけで、本当はもう少しいろいろなことをしたのだけど、
西表島のトレッキングと旅の話は、これにて終了。
Img_0378
帰る日に沖を見たら、新城島が遠くに。
一昨年前には、あそこまでカヤックで漕いで行ったことを思い出し、
次にこの島に来るときは何をして遊ぼうかと考えながら、
空港がある石垣島へ渡ったのでした。

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コメント

庄太郎さんのブログは楽しいです!
臨場感満載ー

岳、最終回なんですか…(泣)
秘境温泉行ってみたいですね!湯上がりフルーツは、やっぱりスイカですか?スイカは水分補給にいいですよね(笑)重いけど(汗)

豚角煮って常温保存できるのがあるんですか!?絶対にやりたいです!寒い時期はラーメンやスープが嬉しいけど、角煮はこれからナイスですね!ワクワクします(笑)

投稿: aiko | 2011年2月18日 (金) 23時09分

aikoさま

ピークス連載の『岳』は、わりと好評だったのですが、
雑誌全体の連載をリニューアルするということで最終回に。
次はどういう連載をどういう方が書くのか楽しみです。

スイカはよほど覚悟がないと持っていけないので、
温泉ではいつもリンゴかナシですよ。
それと豚の角煮ですが、常温保存可能なものも売ってます。
とはいえ、僕はそれを探すのが面倒なときは、
普通のレトルトのものを持っていきます。
それでも経験上、夏場でも1週間は大丈夫でした。

投稿: 庄太郎 | 2011年2月21日 (月) 04時14分

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