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2011年2月 4日 (金)

八重山諸島・西表島1人旅-1/古見岳

もう戻ってきてから1週間近く経ちますが、沖縄本島からさらに南へ400キロ、
八重山諸島の西表島に行ってきました。
ここは僕が日本で一番好きな島で、このところ毎年のように通っている場所。
世の中では屋久島ばかり人気がありますが、西表島はもっといいのに。

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拠点としたのは、島の南側にある南風見田キャンプ場。
天気がイマイチで風も強かったので、木立の中にテントを張りました。
このキャンプ場、自由人たちがへたすると数ヶ月も滞在しているという
コアな旅人には超有名な場所ですが、
今回はこれから製糖工場やサトウキビ畑で働く予定の人、
またはその休みの期間にゆったりしている若い人たちが5~6人ほど。
ちなみに西表島の北側には星砂キャンプ場というものもあり、
僕は会社を辞めた後の無職時代、そっちに数週間泊まりこんでおりました。

さて、島へ到着した翌日、早速歩きに出かけます。
南風見田キャンプ場は道路のドン詰まりにあり、
いちばん近いバス停まで徒歩1時間ほど。
まずはそのバス停を目指し、タラタラ歩いていきました。
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途中のビーチでひとやすみ。
しかし、この季節はいつものことながら、曇りの日ばかり。
そんな天気のなか、牛が草を食っている姿を見ると、
それでも日本は平和なのだと実感します。
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で、バスに乗って島を反時計まわりに進み、
本来はバス停もない、登山口近くで下ろしてもらいます。
バス停どころか、登山口にも一切の表示はなく、
唯一の目印っぽいものは、このペンキのみ。
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車の侵入はダメだけど、人はよい、という意味なのでしょう。

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目指す古見岳はあの稜線の裏あたりにあるはず。
古見岳は標高469.5mしかありませんが、西表島の最高峰。
一般的な登山道とはいえないけれど、一応草木が伐採され、
ジャングルのなかに踏み跡以上のものはあるらしいのです。
なんでも、話をした島民の方によれば、
この山に登るのは島の子どもの恒例行事らしく、
そのために1年に1度は簡単な整備をするのだとか。

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当然ながらイリオモテヤマネコの生息地でもあり、
登山道とはまた別の「生息情報収集巡視路」も。

登山口から歩いて数分、早くも道は川の向こうに。
これから何度も繰り返される渡渉が始まります。
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1月だというのに沢の水は温かく、ジャバジャバ歩いていると気持ちよいほど。

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う~ん、いかにも亜熱帯のジャングル。

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やっぱり亜熱帯ですねえ。

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いやはや亜熱帯。
ちなみにこの平たい根っこは「板根」といって、
昔は切り出してまな板に使っていたらしいです。

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風景ばかりでは寂しいので、旅の相棒のグレゴリー“セラック”を
人間代わりの被写体に。
こいつは昨年の槍ヶ岳・北鎌尾根以来の活躍かな。

沢を歩くこと1時間半、そしてやっと稜線への道を登りはじめます。Img_0121
遠くには大きな滝の姿。

振り返ると海が広がり、ぽっかりと浮かんでいるのは小浜島。
かなり前、NHKドラマ「ちゅらさん」の舞台になった島ですね。
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数年前には、小浜島の最高地点にも行ってみたことがあったっけ。
それにしても、天気がよければ、海の色は透明感のあるブルーで、
そこに珊瑚礁がグリーンのアクセントをつけているのが見えるはずなんだけど。

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この亜熱帯ジャングルの道で、唯一、道しるべとなるのが、こんな林野庁のテープ。
下ばかり見て歩いていたら、イノシシなどが作った獣道なんかに
おそらく入り込んでしまい、簡単に遭難してしまうでしょう。
僕のようにひとりで歩いている人は、とくに注意しないと。

もうちょっと先に進むと、やっと古見岳の姿が。
手前の2つの山の間の奥にある、小さなピークが古見岳なのです。
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いったん稜線から谷間に下り、再び沢沿いに標高を稼ぎます。Img_0143
こんな極小の滝のそばにはロープが張ってあり、
ちょっとだけ歩きやすくなっていたりして。

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う~ん、島の奥まで入り込んでも、当然ながら亜熱帯!
‥‥などといいながら、笹に覆われた道を歩いていくと、突然視界が開けた場所に。
おそらく、ここが山頂でしょ?
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おお、歩いてきた方向がすべて見える!

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北側もいくらか開けていて、そっちにはリーフに囲まれた鳩間島の姿が。
肉眼だともっときれいに見えるのですが、適当に撮影した画像ではこの程度。
まあ、なんとなくわかるでしょう。
それにしても、快晴だったら、ものすごく美しい光景であるはず。
こんな高い場所から珊瑚礁の海を見られる場所なんて、日本にはほとんどないのだから。

ふと足元を見ると、なんとイリオモテヤマネコが。ほぼ原寸大?
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体には「古見岳」の文字。ここはやっぱり山頂だったんですね。
しかし、この石をここまで運び上げた人、大変だったでしょうね。

山頂では1時間ほどぼんやりと過ごし、お茶とカレーパンで昼食。
だけど強風のためにだんだん寒くなってきて、下山することに。
ここまで登ってくるときは半袖&ショートパンツ&薄いタイツなのに、汗だらけ。
この汗が冷えてくると、さすがに気温20℃弱の南の島でも寒さを感じるわけです。
といっても、雪山に比べれば、天国のよう。
本州もまた、さっさと夏になっていただきたいものです。

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帰りは同じ道を引き返すだけ。
また何度もこんな川を渡渉していきます。
途中の淵では、水中に超巨大テナガエビを発見。
それはアメリカザリガニのような存在感があり、
僕の人生で見たテナガエビのなかでも、ダントツに最大。
深い場所なので、捕獲はおろか、写真撮影すら不可能なのが悔しいところ。
今度はキチンと用意していって、あんな巨大なヤツを捕まえてやるぞ。

下山中には子連れのイノシシに出くわし、あやうくぶつかりそうになるトラブル未遂。
先方がまさに猪突猛進で逃げてくれたので、一難を逃れました。
しかし、登山口まで戻ってくると、
いつのまにかタイツをはいていた足がたいへんなことに。
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数種の草の種がくっついてきて、その数は100や200どころではないのです。
こいつらを取り去るのに、たぶん1時間以上はかけたような。
とほほ。
ともあれ、こんな感じで、古見岳へのひとり日帰り登山は無事完了。

そして再びバスに乗り、キャンプ場にいちばん近いバス停へ。
面倒くさいけれど、そこからまた1時間かけてキャンプ場まで歩いていきます。
でも歩いたからこそ、出会えるものもあるわけで。
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こちらはヤエヤマオオコウモリ。
相当近くまで寄って観察したのだけど、逃げる気配なし。
小さなネコくらいの大きさはありましたよ。

というわけで、西表島の話はまだ続きます。

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山(やま)」カテゴリの記事

コメント

貴重な体験記に感銘を受けて、
読ませていただきました!
ありがとうございます!。
私も以前から単独登山が多く、
かれこれ40年になります(笑)。
来月、西表島に行く夢が叶い、
古見岳を目指そうと思いましたが、
何処にも地図や情報が無く、
困り果てていた所に高橋様のサイトに出会いました!!
ぜひ、ぜひ、アプローチポイントやコースなどを、
ご教授いただけますと、幸いでございます!

投稿: kozo | 2013年3月 2日 (土) 21時58分

kozoさま

コースの詳しいことをここでは説明し切れませんが、山と渓谷社から出ている「沖縄県の山」を見てもらえれば、だいたいのことはわかるはずです。
登山口の場所はわかりにくいとはいえ、バスで移動するなら、運転手さんに聞けば、ちょうどよい場所で下ろしてくれます。
登山道自体にもいくつか間違いそうな場所もありますが、
少しでもおかしいと思ったら道を引き返すなどの注意をしていれば、大きな事故にはならないでしょう。
それと、迷いやすいのは稜線ではなく低い場所ですが、
川の中をひたすら歩いていれば、いずれどこかで登山道と交わるので、最悪の事態にはなりませんよ。

あまり参考にはなりませんが、
このブログには2011年だけではなく、2012年に登った簡単な記録もありますので、ぜひ見てみてください。

投稿: 庄太郎 | 2013年3月 2日 (土) 23時33分

高橋様へ、貴重な情報、ありがとうございます!
さっそく書店で「沖縄県の山」をチェックします。
西表島には16日に入島します。
現在、考え中が、
ユチン川方面から古見岳に行こうとしています。

PS:高橋様のエクスピリアンスはすごい!

投稿: kozo | 2013年3月 6日 (水) 09時21分

kozoさま

ユチン川からだと、滝からの登りが急ですね。
雨が降っていると滑りそうなので、ご注意を。
滝の上の渓流の雰囲気はすばらしく、
ザリガニのようにデカいテナガエビが大量にいて、
非常に面白かったです。
楽しんできてくださいね。

投稿: 庄太郎 | 2013年3月13日 (水) 00時05分

西表島はケッペンの気候区分では熱帯に属します。

投稿: nan | 2013年7月24日 (水) 15時00分

nanさま

僕も地理好きなので、おっしゃることはわかりますが、
そもそもケッペンの気候区分に亜熱帯というものはないですから、
これはもっと別の区分けの言い方ですよね。
ケッペンの機械的な区分けでは細かな植生の違いや、現地の感覚は表現できないし。

実際、地元でも亜熱帯と表現しているし、
僕の皮膚感覚からも、熱帯という表現を使うと
赤道直下のジャングルのようなイメージを与えてしまうので、
現状に即して、温帯と熱帯のあいだの亜熱帯という表現で問題ないのではないかと思いますよ。

投稿: 庄太郎 | 2013年7月26日 (金) 06時00分

古見岳に登りたいけど、家族ずれなので、ガイドを頼もうと思います。ラ・ティダ西表に泊まるか、西表島温泉ホテル・バイヌマヤ・リゾートに泊まるか迷っています。そこで、相談しようと思っています。今、67歳ですが、時々、高尾山などに、ロープウエーなしで登っています。若いときには、九州では祖母・傾山・根子岳などは登っています。妻や子も健脚です。なんか情報があったら、よろしくお願いします。’15年12月31日に登ろうと思います。

投稿: よねむらてるひこ | 2015年11月29日 (日) 12時51分

よねむら様

古見岳は高尾山よりも、だいぶ大変ですよ。
まず、道がはっきりしないので、かなり山に慣れた人でも迷う可能性があります。
このブログでも写真を使ったピンクのテープは登山道以外にもあちこちにあって、
これだけを目安に歩いて行くと失敗します。
でもガイドさんを頼むならば、大丈夫かと思います。
古見のほうから往復するよりは、ユチン川のほうに降りたほうが面白いですが、
これもやはりガイドさん同行が前提でしょうね。
また、僕は西表島ではほとんどテント泊しかしたことがないので、宿についてはよくわかりません。
12月はあまり天気がよくないかもしれませんが、お気をつけて。

投稿: 庄太郎 | 2015年12月 2日 (水) 00時07分

庄太郎さま、ご親切に教えて頂き、ありがとうございました。参考にさせていただきます。

投稿: よねむらてるひこ | 2015年12月 6日 (日) 12時55分

初めてメールします。ゆいと言います。
3年ほど前、沖縄本島に7ヶ月ほど滞在していました。その際に、"沖縄県の山"を参考に本島で登れる標高100m以上のほとんどに登りました。沖縄県人は歩くのが嫌いなので全て一人登山です。
どこも南国特有の風景で、入口が解りずらかったり、開発が進み登山を断念したり、危険な植物にも遭遇したり、大変ワイルドな登山になり、本土の登山とは全く異なる経験ができました。
古見岳は当時から興味があり、高橋さまのHPを拝見し、来年早々に行ってみようと思い、メールさせていただきました。
私は決して若いとは言えない年齢ですが、是非挑戦してみたいと思います。よい情報を掲載していただきありがとうございました。

投稿: 高橋さま | 2016年12月10日 (土) 15時57分

ゆい様

僕も沖縄の山はかなり登りましたよ。
古見岳は今年の11月にも行きましたが、
沖縄では数少ない、本格的な山歩きができる場所ですよ。
できれば山頂往復ではなく、ユチン滝のほうに下りるのがオススメです。
登山道は地図に載っていませんが、地元の方がある程度は手を入れているので、
山慣れしている人ならば行けるはず。
ぜひお試しを。

投稿: 高橋庄太郎 | 2016年12月11日 (日) 10時54分

はじめまして、古見岳〜ユツンを検索してたらたどり着きました。
一つ質問があるのですが、このトレックはどちら側から入山した方がお薦めでしょうか?
ご回答宜しければお願いします。

投稿: 投稿者 | 2017年3月21日 (火) 19時53分

古見のほうから入山して、ユチンに抜けたほうがいいと思いますよ。ユチン側から山頂を目指すと、枝沢に入ったりして、迷いやすい気がします。古見側からでも迷いやすいのですが、あちらは登山者の数が比較的多いので、踏み跡が少しはわかりやすいので。それに、滝の上からの眺望を後からにしたほうが楽しいと思います。滝~山頂~古見と歩くと、最後はきっと飽きますよ。お楽しみを。

投稿: 高橋庄太郎 | 2017年3月22日 (水) 10時25分

ありがとうございました!楽しんできます!

投稿: 投稿者 | 2017年3月24日 (金) 11時22分

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