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2011年5月26日 (木)

SOTO “MUKA STOVE”の使い心地

Sod3712a
以前にこのブログで簡単に紹介し、その後、『PEAKS 6月号』
インプレッションページを書いたSOTOの「ムカストーブ」。
点火前の面倒なプレヒート(予熱)がいらない画期的な製品です。

延期されていた発売が、6月15日に決定したようです。
実際に試して感想を聞かせてほしいと、
メーカーから販売前に使わせてもらったこともあり、
ちょっと感想を書いてみたいと思います。
ただ、すでにメーカーのホームページに詳しい情報があげられているので、
細かなスペックなどは、そちらを見てください。
また、僕の第一印象(使い勝手)についての基本的な話は
『PEAKS 6月号』を、できれば立ち読みではなく、購入してご確認を。
ちなみに、ここで使っている写真は、メーカーからいただいたものと、
僕が撮影したものがミックスされています。

さて、このムカストーブ、先日の
「蔵王連峰~雁戸山~笹谷峠」
山行のときにも持っていき、
さらにフィールドでのテストを重ねてみました。
このときは4人のメンバーで、3泊4日。
夜は毎日、3回ともなんらかの味付けの鍋に。朝はラーメンかゴハン。
初日と2日目のキャンプ地には流水がなかったので、
雪を溶かして水を作るのにも使用しました。
Img_1712a
ボトルは2種あるうちの右(720ml)を基本的に使用。
新しいバーナーだと、燃料の消費がどのくらいか予測しにくいので、
念のために左(480ml)も満タンにして持参していきました。
で、4人分の3泊4日の朝メシと夜メシを、こいつで料理するわけです。

組み合わせたナベは、MSRの名品「ブラックライト」。熱効率に優れたナベです。
Img_1580a_2
しかし、付属している遮熱板を雪の上に敷くわけでもなく、普通の木の板に。
つまり、ものすごく熱を無駄にしないようにして使ったわけではありません。
今回は燃料が余ることは自明のことだったので、
そこそこ熱効率がよければ良しとする使い方だったのです。
なぜかといえば、雪の上に金属の遮熱板を敷き、さらにバーナーをその上に置き、
さらに加えて重量のあるナベまで設置すると、
なにかと調理中に滑りやすくなるので、今回は料理のしやすさを重視したんですね。
Img_1486a
以前も使った写真だけど、もう一度。

そんなわけで、紹介しておいてなんですが、燃料の消費量や火力については、
あまり正しい評価はできていません。そのあたりはまたいつか。
そもそも、長時間火を使う鍋という料理がメインで、
毎日、水を作ったりと、無雪期とは違う使い方なので、計算しにくいのですが。
サブで持っていったジェットボイルも、別途お湯を沸かすのに少し使っちゃったし。

お湯がどのくらいで沸くかとか、細かな燃費的などの話は
気象条件やらナベとの組み合わせなんかでかなり変わるので、
何回か使っただけではよくわからないのが正直なところ。
そもそもカタログ的なスペックは無風状態でのものであり、
山で実際使ってみると、驚くほど違います。
しかし少しくらい目安になることを書いておけば、
結局、720mlのボトルは3日目の夜にカラになり、
480mlのボトルのガソリンも少しだけ使うこととなりました。
ホワイトガソリンではなく、クルマ用の一般的なガソリン(赤ガス)を入れておいたので、
使用した燃料の金額は、おそらく100円程度。
3泊4日の4人分の調理の主役となり、この燃料代だけというのは、すばらしいです。

そこから考えるに、自分の使い方(ソロ山行主体/火力弱め/小さめのナベ/
だけどメシは毎回ガッチリ食う)でいうと、
小型のほうのボトル(480ml)を満タンにしておけば、
気温が高い夏なら1週間は持つでしょう。いや、間違いなく余りますね。
この燃料の使用量については、人によって違うので、あくまで僕だけのことです。

火力のこと以上に、僕が気になっているのが、
ワイヤーを編んだもので柔軟性を出した、この燃料ホース。
Img_1583a
ゴトクを折りたたんだバーナーに、こんなふうに巻きつけることも可能なのです。

極端なことをしてみれば、下の写真のように結んでしまえるほど。
Img_1714a
『PEAKS 6月号』でも書いたのですが、あまりに柔軟すぎて、
耐久性が心配になるのであります。
使っているうちに細いワイヤーが少しずつ切れてしまわないかと。
パーツ交換は簡単そうだとはいえ、山で使っているときに面倒は起こしたくないし、
修理のために後から無駄にお金がかかるのも嫌なもの。
無用な心配だったらいいのだけど。
この点が今後、継続して見ていかねばならない重要ポイントです。Sod3711a
カバーを外した燃料ホースの先端は、こうやってポンプに押し込むのみ。
ストッパーがついているので、外れません。

このホースの逆側は、このようにバーナー本体に接続。
Img_1718a
この部分は固定されておらず、クルクルとまわる構造。
だから、ホースの柔軟性と相まって、バーナーとボトルの置き場所を
自由に微調整できるんですね。

中央の突起は、ポンピングによる内部圧力の目安となるインジケーター。
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赤い線が出てきたら、内部の圧力はもう充分ということです。

Img_1578a
ポンプについているダイヤル。
この部分の使い方は書いていくと長くなるので、メーカーのホームページを。
しかし、ワンタッチで消火可能というのは、本当に便利。

というわけで、細かな工夫が盛りだくさん。使いやすさは間違いありません。

ただ、こんなに進化してしまって大丈夫なのかと、逆に心配になります。
だって、「シンプル・イズ・ベスト」という言葉もあるくらいで。
一般的に構造が簡単なものほど故障がしにくく、修理が簡単ですが、
このムカストーブの本当の実力は、故障や破損が少ないか、
そして故障したときに自力でラクに直せるかどうかにかかっていると思われます。
今のところ、僕自身は非常によいストーブだと実感しているのですが、
(他のメーカーの燃料系ストーブはもういらないかも、と思えるほど)
今後長く使っていくうちに問題を発見して、
これから評価が変わる可能性もないわけではありません。
実際、どうなんだろう?

しかし、トラブルに備え、このムカストーブには、
メンテナンスキット(と風防と遮熱板)があらかじめ付属しています。
でも無理やり壊してみるわけにはいかないから、実験はともかく、
本気でメンテナンスキットを使うことになる機会はいつになることか。
Img_1713a

ところで、これはバーナーヘッドの部分。
いかにもSOTOらしく、マイクロレギュレーターストーブとそっくりです。
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雪を溶かして水を作っているときに、この上に何度か水をこぼしてしまいました。
そのときはやっぱり不完全燃焼になりますが、消えはせず、
そのうち再び安定してくれました。

これが燃料時の様子。
Sod3713a_2
火力は強く、完全燃焼させれば炎はブルーに。
ただ、構造上、燃料が通る管がバーナーヘッドの上を通るために、
空気の流れが乱れ、一部は炎が赤くなります。
これは仕方ないことで、機能的には問題なし。
なんとなくブルー1色のほうが、いかにも完全燃焼している感じで、安心だけど‥。

最後に、実際に山で使ってみて思ったこと。

プレヒートの手間がいらないので、はじめにポンピングだけ行っておけば
あとはまるでガスストーブのような感覚で使え、とにかく便利。
火力は申し分なく、けっこう強めの風が吹いていても、
付属の風防があれば、問題なさそうです。
火力の調整の幅はそれほど広くないけど、僕には十分でした。
でも、ソロで小さめのナベを使うことを考えると、もっと弱火にできてもよいかも。

反対に、もう少し改良してほしいのが、着火直後の炎の高さ。
ムカ(霧化)した燃料が一気に燃え上がり、へたすると30センチほど上にあがるのです。
とはいえ、すぐに安定してきて、上の写真のようにおさまるのだけど、
もう少し何とか低めに抑えられないのかな。
通常の天気のよいときに、広い場所で着火する分には問題ないのですが
例えば嵐や豪雨のときに、やむを得ず
テントの前室で調理しなければならないとしたら、
細心の注意をしないと、フライに火がつく可能性がないわけではない気がします。
それと、ゴトクが華奢なので滑りやすく、ナベがひっくり返りそうになることも。
ゴトクのナベが触れる部分だけでも、滑り止めの加工がプラスされるとよさそう。

それらの問題と、先に書いた耐久性、メンテナンスのことは
今後のチェック事項ですが、まずは細かいところまでよくできていると感心。
これはアウトドア界でのひさびさのヒット商品になる予感が。

秋あたりに発売される『PEAKS』では、
さらに長期使ってみてからの感想を原稿に書くことになってます。
機能的には明らかにポテンシャルの高いモデルなので、
故障や破損が少ないうえに、タフなコンディション、ハードな使い方にも耐えてくれれば、
現在の好印象がいつまでも続いていくのではないかと思います。

 

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コメント

おはようございます!

南相馬市、原町です。第一小学校と第二中学校の避難所に行かせて頂きました。

毎日冷めた弁当だったらしく、僕達が用意したメインのステーキは大変喜んで頂きました☆
これからも続けていかなきゃと思いました。

ムカストーブがすごくほしくて、発売が待ち遠しいです。
たしか来月ですよね?

ムカストーブを知るまではドラゴンフライ買おうかと思ってたのですが、
雑誌で商品説明読んで、これは買いだなと。
実際、自分で使ってみないと、わからないとこですが、早く購入して山で使ってみたいです☆

投稿: カミナリおやじ | 2011年5月27日 (金) 08時27分

カミナリおやじ様

原町でのご活動、お疲れさまです。
いまだ、温かい食事がなかなか食べられない地域は多いようなので、感謝されたでしょうね。

ムカストーブは、とりあえず数回使った分には間違いなく「実用的」なバーナーという印象。
ドラゴンフライのほうが、メカっぽくて「モノを使う楽しさ」のようなものを感じますが、
普通に使うだけなら、ムカのほうがラクですよ。

投稿: 庄太郎 | 2011年5月28日 (土) 20時05分

燃焼音は大きかった又は小さかったでしょうか。
例えばMSRのウイスパーライトインターナショナルに比べどうっだったでしょうか。

投稿: | 2011年5月28日 (土) 23時22分

燃焼音は、それほど大きくないですよ。
MSRのウイスパーライトインターナショナルだったら、それと同じか、むしろ低いくらいでしょう。
とはいえ、僕はウイスパーライトインターナショナルは所持しておらず、
この印象は僕の仲間が山で使っているのを見たときと、仕事上、撮影のために何度となく使ったときのもの。
ユーザーとはいえないので、ハッキリとは断言できないのですが。

参考までに違う方法で、僕の「音」に関する印象を説明してみます。
僕自身はMSRのドラゴンフライのユーザーですが、
さすがにこいつの爆音では、人が多い山や森のキャンプ地ではまわりに迷惑をかけるので使う気がせず、もっぱら人のいない雪山か、川や海ばかり。
だけど、ムカストーブくらいの音であれば、よほど密集してテントが張られているキャンプ地でなければ、
まわりをそれほど気にせずに使用できる程度の音だと思います。
そうはいっても、多くのガスストーブのほうがやっぱり静かですけどね。

投稿: 庄太郎 | 2011年5月29日 (日) 13時49分

高橋庄太郎 様

燃焼音について質問させていただいた者です。
ご説明で燃焼音について理解できました。
YOUTUBEなどで音は聞けますが、実際のところどの程度なのかわかりませんでした。
早速、注文しました。
ご丁寧な説明、ありがとうございました。

投稿: | 2011年6月 1日 (水) 00時23分

僕も長く使っているわけではないので、
完全にお勧めできるか、ほんの少しは不安があります。
もしも今後なにか問題が出てきたら、どうしよう?
せっかく注文したものですから、気に入るとよいですね。

投稿: 庄太郎 | 2011年6月 2日 (木) 07時28分

炎が高く上がるということなのですが、軽くバーナーヘッドをプレヒートすれば、炎も落ち着くかと思ったのですが・・・
ダメもとで試す価値はあると思います。

投稿: アッキー | 2011年10月21日 (金) 23時08分

アッキーさま

ムカストーブの最大の長所は「プレヒートいらず」だと思います。
だから、プレヒートしてしまうのなら、
これまでの液体燃料系バーナーと同じかも。
もしもすでに所有しているようでした、
僕が『PEAKS11月号』のインプレッションページで書いたように、
タンク内の圧力を低めにして点火する方法を試してみてください。
どのくらいの圧力にするか、ちょっと慣れが必要ですが。
点火後にポンピングすると、炎が安定します。

投稿: 庄太郎 | 2011年10月22日 (土) 02時24分

はじめまして。
事前にこちらのブログを参考にさせて頂き、本日MUKAストープ購入してきました。

ひとつお聞きしたいのですが、山へ持ち込む時、スマートポンプはボトルから外して持って行かれてますか?パッキングを考えるとセットしたままのほうが良いように思うのですが、その場合の燃料漏れなどの点はどうなのかなと思いまして。

「そういうことは自己責任で勝手にやれ!」とお叱りのお声も覚悟しておりますが、ご感想をお持ちであればお聞かせ頂けると幸いです。

投稿: カズ | 2011年12月21日 (水) 19時08分

カズさま

ポンプとボトルの問題ですね。
僕は家を出るときにはポンプを別にしていますが、
一度、山でポンプをボトルにセットしてしまったら、
だいたいそのままの状態で持ち運んでいます。
もちろん使用時にかけていた圧力は抜いたうえで。
そして、バックパック内部では口を上に向けてパッキング。
その際に、口をしっかり閉め、燃料調整をする
ダイヤルがまわらないように注意はするんですが、
この程度ではなにかのときに燃料漏れを起こす
可能性は残ります。

それをわかっていながら、ポンプをボトルに
つけたままの状態で持ち歩いているわけです。
外すのが面倒ということもありますが、
ボトルに入れちゃっておけば、
壊れやすいポンプを守れるという考えもあって。

最終的には、やはり自己責任。
僕も雑誌では「必ず外して持ち運ぼう」などと書きますが、
あくまでも教科書的な説明であり、
自分ではけっこう違うことをやっているんです。

本当は外して持ち運ぶのが無難ですよ。
僕はMUKA以前に使っていたMSRのバーナーでも
同じようにつけたまま持ち運びしていて、
とくに燃料漏れを起こしたことはありませんが、
高校時代に使っていた液体燃料系ストーブでは
燃料漏れを起こして、食材を汚した経験もあります。

人にはお勧めできないけど、自分ではしているという矛盾。
難しいところですね~


投稿: 庄太郎 | 2011年12月22日 (木) 10時02分

大変わかりやすいご意見ありがとうございました。
なるほど。パッキング性の他にポンプ保護の利点もありましたね。

ご意見は完全なる自己責任において参考にさせて頂きたいと思います。
今後も庄太郎さまのご活躍とブログの更新を楽しみにしております。

投稿: カズ | 2011年12月22日 (木) 17時35分

カズさま

そんなわけで、自己責任で。
こういうことって、難しいですね。

投稿: 庄太郎 | 2011年12月27日 (火) 12時08分

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