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2011年11月12日 (土)

北アルプス/七倉岳~蓮華岳、無人の山(前編)

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“Feel EARTH 2011”でのバックパッキング講座を終わらせた僕は、
自宅には帰らず、そのまま信濃大町を経て、扇沢の駐車場へ。
狭い車内で一晩過ごし、翌日はクルマを置きっぱなしにして
タクシーで七倉温泉の登山口に向かいました。
運賃は6000円弱がですが、ひとりなのでタクシー代を割ることもできず‥‥。
まあ、仕方ないけど。
目標としているのは、上の写真の蓮華岳の周辺です。

七倉岳への登山口。
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稜線の山小屋はすでに閉まっているし、紅葉もよろしくないし、
しかも平日だしと、僕以外の登山者はまったくおりません。
七倉温泉の駐車場ではタクシーが客待ちしていましたが、
湯俣方面から下山してくる人を目当てにしているようでした。

こちらは、今回のバックパック。容量45ℓのグレゴリー“セラック”。
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無雪期の山のシーズンが終わる直前になり、
これ以上、傷めている左膝に負担を与えたくないと、
僕には珍しく、思い切って快適性よりも軽量性で道具をセレクト。
今回はかなり小さい荷物で山に行くことにしてみました。
僕はいつもデカくて重いバックパックを背負っているんですが、
本当はやろうと思えば、軽量コンパクトにもできるんです。
今回は1泊分の食糧(+予備食)でこのくらいのサイズですが、
もう少し荷物が入るので、45ℓあれば3泊くらいはできそう。
ただし、いろいろと我慢しなくちゃいけないでしょうが‥‥。

登山口付近はいくらかの紅葉、というか黄葉。
すでに葉っぱを落としている木も少なくありません。
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夏に比べれば、グッと風通しがよくなっています。

はじめはわりと急登で、木の根っことハシゴが一体になった、こんな場所もいくつか。
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濡れていたら歩きにくいでしょうが、この日は快調。

森林帯の尾根を長々と歩いていくと、「天狗の庭」。
だいたいここから上が森林限界で、見晴らしよし。
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高瀬ダムの先には、今年も登った槍ヶ岳
中央の稜線は、昨年登った裏銀座ルートになります。

振り返れば、唐沢岳と餓鬼岳。餓鬼岳にも昨年登りました
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ちなみに、唐沢岳は今、僕が行きたい山リストの最上位ランクになってます。

花にはほとんど興味がないけれど、甘い実だけはいつも探してしまう僕は、
この日も歩きながら、うまそうなものを物色。
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水分が飛んで、ドライフルーツになりかけているクロウズコ。
瑞々しさが失われている代わりに、味は濃厚で、驚くほど甘くなってます。
これくらいがいちばんうまいのではないでしょうか。

登山口から標高にして1400mほど登り、ほぼ3時間で船窪小屋に到着。
小屋じまいしているので、誰もおりません。
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しかしこの小屋、七倉岳の山頂直下にあるのに、船窪小屋という名前。
実際の船窪岳は。ここから2時間くらい。
たしかに以前の小屋の場所は、七倉岳と船窪岳のあいだの鞍部にあったようですが、
それでも七倉岳のほうが圧倒的に近かったはずなんですが。

小屋を閉めているかわりに、冬期小屋には入れるようになっていました。
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今回はテント泊なので利用しませんが、
雪が降ったらこういう小屋を利用させてもらって山に入るのも面白いでしょうね。

少し休んだあと、小屋からはすぐの七倉岳へ。
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来た方向を見ると、船窪小屋の向こうに、槍ヶ岳やら唐沢岳やら。
このあたりの景色は非常によろしいです。

七倉岳山頂。
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左で山頂が曇に隠れているのが、これまた昨年にも登っている針ノ木岳
右が蓮華岳で、その間の低い場所は針ノ木峠になります。
今回、2日目は稜線沿いではなく、
一度、針ノ木沢谷に下りてから針ノ木峠まで登りなおし、
針ノ木岳か、蓮華岳にいくつもりでした。
さて、どちらに‥‥。
しかし、この景色を見ているうちに蓮華岳に決定。
蓮華岳には2年前に登ったきりだし(ちょうどここから向かったんだっけ)、
あのゆるやかな稜線が気持ちよさそうなので。

だけど、ひとつ問題が。
天気は良かったのですが、じつは風は非常に強かったんですね。
天気予報の予想風速は、僕が山にいるあいだ、つねに15~20mで。
七倉岳の山頂付近でも、強風が吹くたびに、僕はフラフラしていました。
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この上の写真は僕の肩の付近で、
黄色いものはいつも安全のためにつけているホイッスル。
で、山頂にいると、こいつが吹いてもいないのに
突然「ピーーーー」と鳴ったりするんです。強風を受けて、勝手に。

東を見ると、船窪岳。手前の白い部分は崩落している部分です。
北アルプスのなかで、現在もっとも山の崩落が進んでいるのが、このあたり。
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テント場はその手前の低い場所にあり、風向きから考えると、
この日の強風を避けて、テントを張れるのではないかと思われました。
あまりに風がひどいようなら、針ノ木谷まで下りちゃうという手もあるんですが、
あのキャンプ地ならば、そこまでの強風ではないはずで。

キャンプ地に移動する前に、もう1回、針ノ木岳。
明日のルートの一部がよくみえます。
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明日は右側の谷をジワジワと登るわけです。

こちらが小屋から10分ほどのキャンプ地。
稜線から数m下がった場所にあり、案の定、風が弱まっていて一安心。
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この日は結局、誰にも会わず、このキャンプ地もひとり占めです。
以前は烏帽子岳から縦走してきて、ここで泊まり、稜線沿いに蓮華岳へと歩きました。

テントはペグを入れても、ほぼ1キロしかない、ビッグアグネス“フライクリーク1”。
居住性はそれほどよくないし、生地は今にも破けそうなほど薄くて頼りないですが、
ダブルウォールテントでこの軽さなら、文句はいえません。
けっこう気に入っているテントだけど、長くは使えないだろうなあ。
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テントに寝転んでいると、正面には槍ヶ岳。
雲がかかっているのが少し残念だけど、いい気分です。

このキャンプ地でけっこう大きな問題が、水場。
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この標識にまったくウソはなく、ここが北アルプスで最も危険な水場でしょう。
たしかに暗いときや雨のとき、氷結したときに行ったら、死ぬ可能性があります。
天気がよくても、足が弱い人やバランス感覚が悪い人は、かなり厳しいです。

だって、斜面をおりていくと、ついにはこんな場所に。
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ロープは付いているけれど、足元はドンドン崩れ、
ガンガンと崖下に落石していきます。

ロープの末端(茶色い草の部分)より少し先が、水の湧き出ている場所。
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とにかく足元が安定していなくて、崩れた砂の中に足をうずめながら、
タンクやボトルに水を入れるしかないんですね。
水を入れたはよいものの、今度はその場で体を反転させるのが難しく、
危うくバランスを崩して、転びそうになるほど。
転んだら最後、かなり下のほうまで滑落することは避けられません。
個人的には、剱岳の岩場なんかより、こっちのほうがよほど怖いです。

この時期ならば、寒がりの僕は真冬用のボリュームたっぷりの寝袋を持参しますが、
今回は軽量化のために、それほど保温力が高くない寝袋で我慢。
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その代わりに保温力のあるシーツを組み合わせ、寝袋にはカバーも。
今回のテントはメッシュ部分が多く、フライの結露がテント内部に移りやすいので、
カバーの使用は寝袋の保温力を上げることに加え、濡れ防止にも役立っています。

この日の行動時間は4時間足らずで、13時過ぎにはテントを設営しており、
なんとなく本を読み、いつのまにか昼寝なんかしているうちに、夜に突入。

軽量化のために、メシはアルファ米にレトルトのカレーをかけただけのもの。
追加した具はなく、スープも粉末を溶かしただけ。
荷物が軽いのはいいけれど、なんだか心が貧しくなるような。
夜半には気温は2℃くらいまで下がり、フライには真っ白な霜が。
しかもメッシュ地のテントには外部から風がいくらでも入って寒かったのだけど、
今回持ってきた寝袋、シーツ、カバーでなんとかしのげる程度でした。

翌朝は昨日以上に天気がよく、
明るくなってからテントを出ると、槍ヶ岳から穂高へといたる稜線がよく見えました。
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こんな景色をひとり占めできる幸せ。
さて、2日目は誰か他の登山者と会うことになるんでしょうか。
(続く)

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コメント

お疲れ様です!

以前テレビで船窪小屋が紹介されてました☆
老夫婦がオーナーで温もりのあるランプのお宿で。

しかも毎日あの水場までオーナーのおばさんが
水を汲みに行ってるそうです。

うーん、庄太郎さんのブログを見てるとすごく山に
行きたくなる。。。

投稿: カミナリおやじ | 2011年11月13日 (日) 19時57分

カミナリおやじ様

この付近、どうも地味な扱いをされているますが、
あの水場や崩落地を見るだけでも行く意味がありますよ。
いちばんのお勧めは、針ノ木谷をぜんぶ歩くことだけど。
来年あたりに、ぜひ挑戦を。

投稿: 庄太郎 | 2011年11月15日 (火) 11時19分

赤いセラック45私ももってます。今年の夏は5泊6日の縦走+沢登りで使いました。以前UL的な方向に色気をだして軽量パックも使ったことがありますが、耐久性や背負心地に疑問が残り、まっとうなザックをと探してこれを選びました。同じくらいの重量を担ぐ場合、担ぎ心地では60リットルクラスに及ばないものの、期待に近い性能はあると評価してます。

投稿: | 2011年11月30日 (水) 13時22分

セラックで5泊6日ですか。
僕は2泊だけですが、その代わり4人分すべての
食糧をセラックに入れて山に行ったことがあります。
ソロで換算すると、1週間分以上の食糧ですね。
45リットルでも夏場なら間に合うことになりますが、
そのときは結局、腹いっぱいのメシとはならず‥‥。
しかし短い旅ならば十分とも言え、
今後も僕のセラックは活躍することになりそうです。

投稿: 庄太郎 | 2011年12月 2日 (金) 15時23分

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