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2011年11月13日 (日)

北アルプス/七倉岳~蓮華岳、無人の山(後編)

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七倉岳~蓮華岳、前回の続きであります。

こちらは2日目の出発前に撮った、僕のテント。
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写真に撮るために、荷物は整理整頓し、寝袋もきれいに並べてみました。
ゆっくりとメシを食っているうちに、霜もだいたいとけてしまいましたが、
こう見えて、テントのフライの内側はベチャベチャです。
だけど今回はたった1泊なので、そのまま撤収して家で乾燥させればOK。
これが2泊以上だと、少々気が重くなるのですが。

と、ここまで書いてから思い出したのですが、
今回使ったテントなどのギア類って、今年はじめの愛鷹山とかなり似ています。
テントを張った場所の斜面に合わせて、
細かな荷物の位置が左右反対になっているくらいで。

キャンプ地から船窪乗越にいたる稜線、不動沢側はこのように崩れております。
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数年前にはこのあたりから大学生が滑落するという事故がありましたが、
そのときはこちら側の崩落地ではなく、反対側の針ノ木谷のほうに落ちたようです。

この崩落地、ものすごい勢いで崩れており、以前の登山道はすでに半分が空中に。
丸太の位置を見てもらえばわかると思います。
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この近辺はもともとフォッサマグナの断層上にあるために崩れやすいのですが、
それに加えて、30年くらい前に高瀬ダムができたことによって地下水位が上がり、
さらに崩落の度合いが増したといわれております。

黒部の谷には雲がたまり、その上に立山連峰の姿。
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あのあたりは今年、何度も歩いたな。
中央の低い部分、一ノ越から黒部ダム付近まで下ったり
その左のほうにある五色ヶ原から、同じく黒部ダムまで進んでみたり

昨日も見た針ノ木峠を真正面から。
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峠にある針ノ木小屋の近くにはジグザグに道が刻まれているのがわかります。

で、これはその反対側の風景。
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槍ヶ岳から大天井岳へといたる表銀座コースが丸わかりです。
今年歩いたとか、昨年歩いたとか、そんな話ばかりしていますが、
その表銀座コースも今年の7月に行きました
合わせてみてもらうと、面白いかと思います。

キャンプ地から20分ほどで、船窪乗越に到着。
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ここから針ノ木沢まで、稜線から谷へと下りていきます。
その1時間足らずの道が、僕が今回いちばん歩きたかった場所。
以前歩いたのがかなり前なので、来年3月予定の北アルプスの本を書く前に
現在の状況をもう一度知りたかったのです。

針ノ木谷へと下りつつ、これから登る蓮華岳を撮影。
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しかし、あの山頂に行くには、これから沢まで400~500mほど下ったあとに、
900mほど上り返さねばならないのです。

で、僕が確認したかった船窪乗越から針ノ木谷までの道は、こんな感じ。
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夏でさえ歩く人は少ないはずなのに、しっかりと整備され、歩きやすい道でした。

あっという間に針ノ木谷へ到着。
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何度きても、このあたりはいいですね。
こういう比較的ひらけた谷を歩くのは、稜線歩きとともに面白いものです。

昨年の同じような時期に針ノ木岳付近を歩いたとき、
稜線では水が手に入らないからと、谷まで下りてテントを張った場所。
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その後の雪や増水によって、かなり様相が変わっていました。

針ノ木谷出合の標識も、昨年以上にバラバラに。
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ここで少しばかり長めの休みをとり、針ノ木峠まで登りはじめました。

狭い枝沢に入り、岩をつたいながら、少しずつ標高を上げていきます。
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夏だったら、間違いなくブーツが濡れてしまうでしょうが、
水量が落ちた秋は、問題なく歩けるのがよいところ。

ただし水量が少ない分、コケがしっかりとついていて、けっこう滑ります。
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何度も沢の左右を移動し、沢をまたぐことになりますが、
トレッキングポールがあると歩きやすいです。

だんだんと近づいてくる針ノ木峠と針ノ木小屋。
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途中から沢には水がなくなり、葉が落ちた木々の中を進みます。

視界がひらけた場所で振り返ると、朝までいた七倉岳付近がよく見えました。
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左の尖った山が七倉岳で、いちばん低い場所が船窪乗越、
右が船窪岳という位置関係になります。

針ノ木小屋に到着。
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針ノ木岳は人気なので、平日でもここには人がいるかもしれないと思いましたが、
誰もいませんでした。やはり小屋が閉まると、一気に人影が減ってしまいます。

キャンプ地にも何もなく、トイレも撤去されていて寂しげ。
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今年はこのあたりにクマが居ついていたようで、
たびたびテント場にも現れていたそうです。

小屋の前に主要な荷物はデポさせてもらい、蓮華岳へ向かいます。
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角度を変えて見る針ノ木岳。いかにも冬前の重い色合いもカッコいいですね。

晴れているというのに、雷鳥が数羽。
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風がかなり強かったので、天敵の猛禽類が飛んでこないと思っているのでしょうか。

左の山頂が、蓮華岳。広々としていて気持ちのよい稜線です。
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この解放感は、北アルプスでいえば、野口五郎岳とか双六岳、白馬岳などに匹敵。
しかし反面では吹きさらしということでもあり、
Tシャツで歩いていた僕は、途中でアウターを取り出すことになりました。

山頂の祠。その後ろには、左に立山連峰、右に剱岳。
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9月には奥大日岳方向から剱岳の写真を何枚も撮りましたが、
こちらから見る剱岳も悪くありません。
奥大日岳の後に歩いた内蔵助平(立山と剱岳のあいだ)とハシゴ谷乗越から見た
剱岳の写真と比べてもらっても面白いかも。

山頂の標識。僕は今回、七倉岳から針ノ木谷を経て蓮華岳まで歩きましたが、
稜線沿いに北葛岳経由で蓮華岳まで歩くのもお勧めです。
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今回、冒頭で使った写真は、この蓮華岳の山頂から撮った七倉岳にいたる稜線。
西側から迫ってくる雲を、稜線上で強風が押しとどめていました。
高山らしい風景ですね。

針ノ木小屋に戻り、針ノ木大雪渓から扇沢へと下山開始。
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谷にはガスがかかり、先がよく見えません。

針ノ木大雪渓は、北アルプス3大雪渓のひとつですが、
10月も中旬になると、雪はほとんどとけてしまい、残るはこの程度。
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一切、雪の上を歩かずに下っていけます。

雪の上を歩かないですむ代わりに、けっこうな岩場が。
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年間、それほどは使われないルートですが、
ちゃんと整備されています。小屋の方々に感謝しないと。

雪渓が残っているときに、いちばんの急斜面となる場所も、たんなる沢に。
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雪渓はないけれど、浮石は多く、足元はけっこう崩れます。

このあたりで前方に人影を発見し、追い抜きました。
日帰りで針ノ木岳まで歩いたらしい登山者で、
今回の1泊2日の山歩きのなかで、これが唯一の他の人との遭遇に。
もしかしたら一切、人とは合わないかもと思っていましたが、
山旅のほとんど最後になって、完全無人の山旅ではなくなりました。

さらに下っていき、もうすぐ扇沢という地点。
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これくらい下がると紅葉がまだ残っておりましたが、それもごく一部でした。

この後、僕は扇沢に置いておいたクルマに戻り、旅は終了。
荷物を少なくしていたので、非常に早いスピードで歩けましたが、
その代わりに昨日の夜、今日の朝とメシの量が物足りなく、
食堂で大盛りのうどんとかき揚げ丼を一気に食ってから帰宅したのでした。



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