« 2012年4月 | トップページ | 2012年6月 »

2012年5月

2012年5月29日 (火)

北アルプス/毛勝三山(前編)

Img_7152a_2
5月中旬、北アルプスの毛勝三山に行ってきました。
剱岳よりもいっそう北側にある、北アルプスの外れです。

上の写真は、その毛勝三山ではなく、登っている途中で見られる僧ヶ岳と駒ケ岳。
この場所には5月の大型連休に行くはずだったのですが、
天候と雪質の悪さの関係で南アルプスの北岳にチェンジしておりました。

メンバーは、カメラマンの加戸さん、そして新人ライターの某。
彼は昨年、僕に連絡をしてきた男で、今年になってライターデビューを果たしました。
彼はこれまでにかなり山に登った経験があるようなのですが、
僕といっしょに登るのは今回が初めて。
はたして、どれくらいの力を持っているのか?
そして、今後ライターとしてやっていく資質はあるのか?
そういう意味でも、楽しみな山行だったのですが……。

まずは登山口となる片貝へ。
Img_6993a
夏ならばクルマで行けちゃうのですが、この時期はまだ歩いていかねばなりません。

無人の片貝山荘でひとまず休憩。
Img_7005a
ここから残雪で覆われている阿部木谷をつめて、稜線を目指します。

ちなみに、毛勝三山とは毛勝山、釜谷山、猫又山のこと。
だいたい標高は2400m前後です。

そのうち毛勝山と猫又山には山頂へ単純往復するだけの夏道がつけられていますが、
釜谷山には道がなく、ヤブのなか。だから三山を縦走できるのは、
雪がある時期のみ、なのですね。
そういう場所だから、先日僕が書いた「北アルプス」の本からは除外してあります。
無雪期にテント泊縦走ができないもので。

林道を経て、阿部木谷へ。ところが……。
Img_7026a
ちょっと見たこともない土砂崩れが発生しており、雪渓の上が石と岩、土だらけ。
どうも崩落して間もないようなのです。
Img_7040a
どこまで土砂に埋もれているのか、まったくわからないほど、見渡す限り茶色い世界。
しかも、雪渓の下からは水の流れる音が聞こえ……。
クレバス状になった雪渓の裂け目があったとしても土砂のために確認できず、
大きな岩はグラグラと動くし、この上を歩いていくのはあまりにも危険。
やむなくこれまで歩いてきた道を戻りつつ、善後策を考えました。

ほとんど片貝まで戻り、やむなくこの日は川に近い広場でテント泊。
Img_7046a
相談の末、明日は毛勝山まで延びている夏道を使い、高度をあげることにしました。
夏道といっても、途中からは雪に覆われているはずなのですが。
いやはや、こんなことになるとはなあ。

翌日、西北尾根の夏道を使って毛勝山を目指します。
Img_7060a
昨日、無駄に途中まで登ったことに加え、雪渓よりも歩きにくい尾根の道は
余分に時間がかかってしまい、大幅な時間のロスですが、仕方ありません。

好天に恵まれ、Tシャツでも暑いほどの気温。
そんななか、標高をあげて森林限界を越えると、こんな風景に。
Img_7098a
背後にあるのは、僧ヶ岳から続く駒ケ岳。
残雪の時期は、山がいっそうきれいですね。

しかし、尾根から反対側を見ると、このような光景が。
昨日、僕たちの行方を阻んだ大土砂崩れであります。
稜線のいちばん上から崩れているのがわかるでしょうか?
Img_7073a
この写真でいうと、僕たちはほとんどいちばん下のあたりから引き返したのですが、
上から下まで、延々と土砂が続いているのがわかります。
これほどの土砂崩れを見たのは、僕の人生で初めて。

当初の僕たちのルートは土砂崩れがあった谷を最後まで登りつめるのではなく、
途中から左側の谷に入っていくコースでしたが、
この土砂の上を歩くのは、たとえ途中までであっても危なすぎです。
行かなくてよかった。

どんどん溶けていく雪の上を歩き、できるだけ高い場所へ。
Img_7106a
どんどん登っていくと、毛勝三山を含む稜線の向こうに、
昨年も登った白馬岳あたりが見えてきます。
Img_7112a
おお、景色がますますよくなっていく~Img_7117a
白馬岳どころか、最終的には五竜岳や鹿島槍ヶ岳まで見えちゃいました。

そして、2100m付近まで登り、2日目のテント泊。
Img_7122a
明日はここから300mほども登れば、毛勝山の山頂というわけです。

雪を溶かして水を作り、メシの用意。
Img_7128a
テントの中からは富山湾が光って見えました。

沈みゆく太陽。
Img_7150a
そして、さらに暗くなると夜景までが。
Img_7168a
街に近いようでいて、ここは北アルプスでも奥深い場所。
なんだか贅沢な景色です。

やはり悪天候だった連休に、無理に行かなくてよかった。
だって、この日以降も好天が続いたのですから。

(続く)

| | コメント (2)

2012年5月24日 (木)

ボー・ヒルバーグ緊急来日&イベント開催

Img_1047a
アウトドア好きの憧れのテント・メーカーといえば、
真っ先に名前が挙がりそうなのが、スウェーデンのヒルバーグ。
僕も写真のソウロというモデルを愛用しています。

で、その創始者のボー・ヒルバーグが来日することになり、
急遽イベントが行なわれることになりました。

日時は5月26日(土)15~17時、
場所はエイアンドエフ ショールーム(

新宿区新宿6-27-56 新宿スクエア1F)。
とくに予約は必要ありませんが、定員は50名。
詳しくはA&F COUNTRYのFACEBOOKから。
これを書いた時点ではまだアップされていないけれど、すぐに更新されるはず。

さて、以下は、エイアンドエフからもらった、その内容の詳細であります。
僕のライター仲間の村石くんや、森山くん、大森さんが、いろいろと語ります。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

創始者 ボーとヒルバーグを愛用し、ボーとも親交のあるギア系アウトドアライター村石太郎氏とのトークセッションに続き、2010年、ヒルバーグのテントを使用し、北欧北極圏3カ国850キロを踏破したアウトドアライター森山伸也氏と大森千歳氏による初のスライドショー、そして創始者ボー本人によるヒルバーグクリニック&発売ほやほや!初の3シーズンテント、メッシュシェルターを徹底分析!最後には豪華景品があたるボーとのジャンケン大会がありますよ。

また、ご来場頂いた皆様に非売品HILLBERGステッカー(ボーのサイン入り)をプレゼント!

※先日枻出版より発売された「北アルプス テントを背中に山の旅へ」(表紙に写っているのはヒルバーグです!)の著者である高橋庄太郎氏ももしかすると駆けつけてきてくれるかも!

今週土曜はヒルバーグと「北アルプス」を持ってA&FGO

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

この説明文で注意してもらいたいのが、「僕の名前」も入っていること。
たしかに、僕の本の表紙に写っているテントは、ヒルバーグのソウロなんですよ。
530110_330905110291626_1956533504_2
ちなみに、この写真を撮ったとき、
今回のイベントで話をする村石くんのヒルバーグもすぐ近くに張られていたりして。
そんなわけで、僕もヒルバーグの愛用者として、
このイベントでなにかすることを頼まれたのですが……。

僕には那須で行なわれる友人のイベントに参加する予定がすでに入っており、
突然行なわれることになったヒルバーグのイベントの時間までには
東京に戻れそうもないんですよね。
でも、終了時間の17時までには会場に行けそうな気がするので、
たとえほとんど終わっていたとしても、顔を出してみるつもりです。

ともあれ、創始者に会えるというのは貴重な経験ですし、
ライター陣の話も面白いはずなので、ぜひ足を運んでみてください。

 

| | コメント (6)

2012年5月16日 (水)

『山と渓谷6月号』発売中

516xjebhml_ss500_a
すでに昨日ですが、『山と渓谷6月号』が発売になっています。
「大縦走」という特集のなかで、僕が関係しているのは
“日本の夏。時期別大縦走ベストプラン」という部分。
梅雨入り前、梅雨時期、梅雨明け直後、盛夏、晩夏と、季節を細かく5分類したなかで、
それぞれのタイミングでのお勧めのコースを紹介しています。
原稿を書いたというよりは、コメントを寄せたというような内容。
あまり細かな説明はなされていませんが、ちょっとした参考にはなるはずです。

それと、この号でも僕の本『北アルプス テントを背中に山の旅へ』を
書評のコーナーで紹介していただきました。
高校のときから読んでいた雑誌に自分が書いた本が紹介されるとは、
非常にうれしいことですよ。今後も頑張ろうと思います。

| | コメント (4)

2012年5月15日 (火)

『PEAKS 6月号』発売中

Peaks12_06a
本日、『PEAKS 6月号』が発売になりました。
大特集を要約すれば、「ソロ縦走」というわけです。

僕は昨年、自分の書籍執筆用調査のための山歩きばかりしていたので、
いわゆる前年度取材(季節をあわせて記事を載せるために
1シーズン前に取材/撮影すること)をあまり行なっておらず、
この号にも僕の山ルポは掲載されておりません。

その代わりに頼まれたのが、「山行シミュレーション」の4ページ。
言い方を変えれば「机上山行計画」で、夏休みを想定して
具体的に歩くルートを定め、その際に必要なギア類や注意ポイントなどを
3泊4日の日程に合わせ、つらつらと書いていきました。
ちなみに想定ルートは、北アルプスの「烏帽子岳~針ノ木岳」という
地味でいて人が少なく、しかし僕好みの静かなコースです。
このあたりには昨年も一昨年前にも実際に歩いています
それも夏以上に人が少ない秋に。
本当にお勧めの、通好みのルートなのです。

この特集では、他にも「ソロの夜」という、
ひとりテントの中で何をやっているか、という話も1ページ書いています。

特集内ではありませんが、さらにもう1ページ、
モノクロの連載企画ページで「山好きが選ぶ音楽」というコラムも。
自分で設定したテーマは「歩行中の気分を強制上昇させる英国ロック」。
そこで使われている写真は、自分で撮影しました。
元の写真はこちら。
Img_6618a
自宅で無理やり撮影したものなので、この程度。
モノクロで使われているカットですが、元のカラー写真でもほぼ同じ色合いで……。
飾られている写真は、ストーン・ローゼズのイアン・ブラウン、
オアシスのリアム・ギャラガー、ヴァーブのリチャードアシュクロフト、
クラッシュのジョー・ストラマー、アンダーワールド、スーパーグラス、
ハッピー・マンデーズのベズといった、
英国ロックのレジェンド、およびレジェンドになるはずの面々。
かつて、すべて直接会って取材したことがある、
僕のヒーローでいて、思い出の方々であります。
これらの写真とはそれほど関係なく、
実際に誌面で紹介した5枚のアルバムが何なのかは、
『PEAKS 6月号』を見てみてください。

しかし、この号を見て驚いたのは、
インタビューの連載「なぜなら、そこに山があるから」に、
僕が毎年、知床でお世話になっている新谷暁生さんが登場していたこと。
それも、2回連続らしく、来月号でも読めるんですね。

ところで、その新谷暁生さんが連載を持っているのが『岳人』。
4910023590623a
僕も毎号買って読んでいますが、いつも真っ先に開くのは新谷さんの連載なんです。

その『岳人6月号』では、僕の書籍『北アルプス テントを背中に山の旅へ』
書評のコーナーで紹介していただきました。
ありがとうございます!
僕はまだ岳人で原稿は書いたことはありませんが、
こういう形であれ、自分の名前が初めて誌面に出ると、うれしいものです。

最後に、『PEAKS 6月号』に話を戻すと、この号で告知が始まったのが、
昨年も行なわれ、今年の1月号に掲載された
読者参加企画の「リーダーズセッション」
のこと。
僕は今年も「ゲスト」なる肩書きで参加することになりました。
場所は、僕の好みで北アルプスの白馬岳付近。
詳細はいずれここでもお知らせします。


| | コメント (5)

2012年5月13日 (日)

ヤフーオークション出品中! 非売品”クリーンカンティーン”のボトル

5179a
                        (撮影/加戸昭太郎)
本日の11時開始、5月20日22時を終了時間として
「青空ユニオン」の名でアウトドア関係者が参加したチャリティーオークションに、
僕が提出した”クリーンカンティーン”のボトルが出品されています。
オークションのタイトルは、
”[チャリティ]「別注デザイン」クリーンカンティーン”
ぜひ上のリンクをクリックしてもらって、確認してみてください。

これは東日本大震災で被災した
宮城県の高校山岳部/ワンダーフォーゲル部の部員たちに使ってもらおうと、
イラストレイターの鈴木みきちゃんにお願いしてイラストを入れてもらい、
僕の汚い文字まで入ってしまった別注/非売品モデルです。201108shirouma_img_2956a
                              (撮影/大森千歳)
さらに詳しいことは、このブログでも過去に説明しているので、
興味のある方は、ぜひ確認してみてください。

このボトル、一応オークション用に3本用意しているのですが、
もしかしたら、今回のはじめの1本だけになるかもしれません。
というのも、あまりにも低額で落札されてしまうと、
被災地へのチャリティーという意味がまったくなくなってしまうんです。

それがなぜかをハッキリいっちゃえば、ボトルの原価や輸送費の問題もありますが
なによりもオークションの代行手数料の問題。
それらの諸経費を越える金額にならないと、
せっかく落札してもらっても、被災地には一銭も届かない可能性があるからなんです。
もろもろの事情を考えると、手数料がかかることはやむをえないのだけど、結果として
被災地の支援につながらなければ、オークションの意味はないと思うんですね。
それならば、オークションに出さずにどこかでだれかに買ってもらって
その代金を寄付にまわしたほうが合理的。
宮城県出身の僕としては、お飾りのようなオークションで終わらせるよりは、
実際に被災地にいくらかでもお金が回る現実的な方法をとりたいのです。

というわけで、ある程度以上の落札金額になってほしいと願っている
クリーンカンティーンのボトル、入札に参加していただけると幸いです。


| | コメント (0)

2012年5月11日 (金)

『Tarzan 603号』発売中

A
一昨日前に、『Tarzan 603号』が発売されております。
このなかに掲載されているのは僕が書いた記事ではなく、先日発売され、
ここでも詳しく説明した僕の本『北アルプス テントを背中に山の旅へ』の紹介。
つまり、僕がインタビューを受けて、1ページほどの記事にしてもらったのです。

カラーページなので、自分の写真を見るといまさらながら恥ずかしい気もしますが、
わざわざ大きなスペースで取り上げてもらって、本当にありがたいです。

もう1冊、僕も知らないうちに本を紹介してくれていたのが、
発行開始以来、誌面が面白くなってきている『TRAMPIN’ Vol.8』。
886949aaa_3
巻末あたりに小さく載せてもらいました。
僕自体はどこにも記事を書いてはいませんが、夏山の特集は面白そうですよ。

| | コメント (0)

2012年5月10日 (木)

『ワンダーフォーゲル6月号』発売中

1200622742a
本日、『ワンダーフォーゲル6月号』が発売になりました。

僕が書いた記事は、連載『MOUNTAIN EQUIPMENT BRAND HISTORY』の
「アウトドアリサーチ(OR)」の6ページ。
この会社には、2年くらい前に本拠地のシアトルまで取材しに行ったことがあるので、
メーカーの歴史や商品の特徴もよく知っており、僕としては書きやすい原稿でした。
それに、もともと好きなメーカーですからね。

下の写真は、本社のショールームの一角。
R0014788a
本当はもっときれいで華やかなんだけど、なぜか僕の手元にある画像はこれだけ。
しかもボケてるし。このときは別途、カメラマンが同行していたので、
撮影はすべてお任せして、自分ではぜんぜん撮らなかったんです。

ブランド黎明期の名作、「Xゲイター」も展示されていました。
R0014787a
なるほど、当時としてはこれが画期的だったのか~。
このゲイターの話などは、『ワンダーフォーゲル6月号』を読んでみてくださいね。


| | コメント (2)

2012年5月 9日 (水)

八重山諸島/西表島-4(無人の海岸から山を越えて川、海へ)前編

Img_6110a_2
旅から帰ってきてからは、すでに1ヵ月以上、
前回の「八重山諸島/西表島-3(古見岳~ユツンの滝)」からも
かなり経ってしまいましたが、西表島の話の続きです。
自分自身、前に何を書いたのか忘れつつあるので、適当に書き進めていきます。
パックラフトを使った島横断と古見岳は取材でしたが、ここからはプライベート。
カメラマンのカメちゃんは、ここで一足先に帰っていきました。

この時点で、旅の日程はまだ半分。
残りの時間を使って、僕たちは西表島の無人地帯である南海岸を歩き、
その後、山に入って分水嶺を越え、川から反対側の海に出て、
すべて徒歩で人間の世界に戻るという、
人力で「海、山、川」を移動していく旅を企てておりました。

そんなわけで、前日のうちに移動しておいた南風見田のキャンプ場から出発。
Img_6107a
ヤーマンのバックパックには、モリ先をつけた長い竹。
結局、邪魔になって途中で外してしまうのですが、
道中に獲物がいれば、すかさず捕まえてしまおうという心意気が現れております。

この日の目的地は、鹿川という場所。
じつは昨年、僕はひとりで行ってみようとしたものの、難所を越えることができず、
敗退しております。つまり、今回はリベンジの意味もあったのです。
ともあれ、今回も出発してから当分のあいだは昨年と同じ道なので、
この海岸歩きに興味がある方は、昨年にアップしている西表の話を見てください。

昨年と同じ場所なので、説明は簡略化して、写真集的に進めます。
Img_6114a

Img_6140a

Img_6128a

下の場所は、昨年、僕がビバークした付近。
Img_6131a
正式名称は別にありますが、ごく一部では
「庄太郎ビーチ」としても知られる浜であります。
昨年よりも水量は少ないですが流水があり、ここで飲み水を補充。

Img_6143a

数時間歩いているうちに潮が引き始め、
ときには太腿までつかりながら海の中を歩いていきます。
Img_6151a
砂地や岩の上よりも、このほうが圧倒的にラクなんです。

歩きやすくなると同時に「獲物」も獲得しやすくなります。
僕の手の上にあるのは、タコの足。
Img_6148a
このときはタコが岩の隙間に入り込んでしまい、
手元に残ったのはちぎれた足が数本だけ。
上の写真ではかがみこんだツッチーが
執拗に「本体」のほうを捕まえようと、まだ頑張っております。
僕はこのときも右手が腫れて巨大化したままだったので、思うように手を使えず、
もろもろの採集は2人のほうが楽しそうにやっておりました……。

このタコの足はそのまま口に入れ、吸盤が口内に吸い付くのを面白がりながら咀嚼。
ちょっとかわいそうな気もしますが、足を数本食べられるのと、
丸ごとすべて食べられてしまうのとでは、どっちのほうがタコにとってよいことなのか。

そのうち現れたのが、昨年僕が越えることができなかった「ナーピャ」という難所。
Img_6154a
リーフの切れ目で、サメが泳いでいるのがよく見られる(らしい)場所であります。
しかも獰猛なことでしられるシュモクザメだったりして。
だから、あまり泳いでは渡りたくないんですね。

この後、3人で道を探すこと1時間以上。
1度山に入ってから乗り越える「巻き道」があるはずなのですが、
地図を元に地形の弱点を探したりしても、まったくどこにあるのかわかりません。
またしても、僕はここで敗退しなければならないのか……。

下の写真のような海岸を3人バラバラになりながら、途方に暮れる我々。
Img_6157a
南風見田からの道中ですれ違った人がいたのですが、
その人も鹿川まで行こうとしたけれど、巻き道が見つけられず断念したとのこと。
なにしろ地図にも載っていない道で、営林所の方やヤマネコ調査の人以外、
こんな場所を歩くのはよほどの西表島好きの者くらいなので、明確ではないのです。

しかし、今回は3人がかりで、とうとう見つけました。
ナーピャから戻ること数百m、僕たちが違う場所に続いていると思っていた踏み跡が
途中で分岐していて、一方が目的地の鹿川方面に続いていることを発見したのです。
海岸から持ってきたブイが目印になっていた分岐はかなり山奥で、
海岸からは数十mも上だったので、それからもまた大変。
再び海岸に戻ってバックパックを背負いなおし、もう一度山の中へ入り、
ものすごく滑る地面、トゲのある植物になんとか対処しながら標高を上げていき、
いったん分水嶺まで登ってから、不明瞭な踏み跡をたどって西に進みます。
Img_6159a
上の写真でヤーマンのバックパックについている白いものはレジ袋。
海岸で集めていた数種の貝やシャコエビなんかが入っております。Img_6160a

ヤブのなかを延々と進んでいき、間違って一度は崖の上へ。
しかし、そこからはちょうど難所の一端が確認できました。
Img_6161a
上の写真の左側ですね。ここから見ると、ぜんぜん難所には見えませんが。

そして再び海岸に下り立ち、あとは鹿川の浜まで歩くのみ。
Img_6163a

Img_6165a
だんだん日没が近づいてきて、日光がオレンジ色になってきました。

太陽が島影に隠れるのとほぼ同時期に、鹿川の浜の一端に到着。
Img_6168a
それから海岸をウロウロしてすごしやすい場所を探し、テントの設営を行いました。

夜は焚き火。
Img_6172a
この場所までは、いくらか歩いてくる人はいるようなので、
何ヵ所かに焚き火の跡があり、野営した形跡も残されていました。

翌朝。この日は、予定通り、各自フリータイム。
この浜で何もせず、ただただボーっとしていました。
釣りをしたり、海岸で獲物を探したり、酒を飲んだり。
僕が昼寝しているうちに、2人は次の日のルートを偵察にも行ってくれました。
Img_6178a
この日、僕がいちばん気持ちよかったのは、
海岸の大きな岩の上に横たわって昼寝をしていたとき。
その場所からは、鹿川の浜が上の写真のように見えました。
中心あたりに、かすかにブルーとグリーンの異物があるのがわかるでしょうか?

ズームしてみると、下のような感じ。
Img_6185a
2人は座ったり、寝転んだりして、本でも読んでいるようでした。

違う方向から同じ野営地を見ると、下の写真になります。
Img_6195a
貸しきりの浜。まるでプライベートビーチのようであります。
テントは2つだけで、ツッチーは今回ハンモックを使っていました。

この浜でも発見できたイリオモテヤマネコのものと思われる足跡。
Img_6190a
昨年見たものはたぶん本物だと思うのですが、今回の足跡はちょっと自信なし。
でも、ほかにこういう足跡をつける哺乳類って、西表島にはいないはずなんだけど。

以前、この鹿川には集落がありましたが、今はほとんど痕跡が残っていません。
しかし、こんな小さな洞窟があり、誰かが泊まったような跡も。
Img_6192a
でも、この洞窟って、鹿川が廃村になった後、
少し前までは頭蓋骨などが転がっていたというんです。
ここでは詳しいストーリーは省きますが、かつて西表島に流れ着いた朝鮮半島の人を
この島にあった炭鉱で強制的に働かせ、
体が衰弱したあとは鹿川まで連れて行き、この洞窟に放置したらしいのです。
今は人骨はすべて回収して供養したようですが、
きれいな浜にも暗い歴史が潜んでいたりもするわけです。

話は変わり、僕たちのテントの近くにあった沢。
僕たちはこの水を汲んで、ほとんど煮沸すらせずに飲み水にしていました。
Img_6196a
この沢は小さいのに、僕が大好きな「獲物」がいっぱい。
夜になると「パトロール」と称して、2晩とも数時間おきに狩りに出かけました。

その獲物とは、テナガエビであります。
Img_6213a
テナガエビは基本的に夜行性で、夜になるとエサを探すために
岩影から出てきますが、なぜか行動は日中よりもボンヤリしているんですね、通常は。
だけど、ここのテナガエビは僕のエビ人生のなかで最も敏捷なヤツらで、
わずかな光が当たっただけでビンビンと水上にまで飛び跳ねて逃げていくんです。
採集がものすごく難しく、時間のわりになかなか手に入りませんでした。
ウナギもいたのですが、モリが刺さらず、悔しい思いをいたしました。
しかし、デカい海が目の前なのに、川でばかり猟をしているという不思議さ。

海ではヤーマンが、カニもゲット。
Img_6209a

こちらも焚き火で焼いたヤーマンが採ってきた貝。
Img_6207a
貝は種類によって殻がものすごく硬く、全力で石で割ろうとしても難しいものも。
結局、巻貝は面倒なので、こういう貝ばかり食っていました。

最後に、クッカーのハンドルの新しい使い方。
Img_6204a
こうして焼きたてをつかんでから、しょう油を垂らすと、
ジュワっと香ばしい匂いが漂ってきます。

というのが、海岸歩きの1~2日目。いずれ「後編」もアップしたいと思いますが、
その3日目が今回の西表島の旅でいちばん面白かった日なのでした。

(続く)

| | コメント (0)

2012年5月 7日 (月)

南アルプス/北岳(の手前の池山付近)

Img_6861a_3
今回の連休、僕は南アルプスの北岳を目指しました。
もともとは北アルプス最北の違う山に行くはずだったのですが、
どうも雪の状態が悪そうなのと、天候が安定していないために、
北アルプスよりはいくらかマシであると思われる南アルプスに変更したのでした。
この時期の南アルプスは、2年前の「農鳥岳~伝付」縦走以来です。

その変更を決めたのが、出発の前日の夜遅く。
しかも当日の午前中に到着した甲府駅ですでに天気が思わしくなく、
本当に行くべきかどうか再び迷ったり、仕事上の連絡をとっているうちに、
タクシーに乗る時間も遅れてしまい、夜叉神の駐車場についたときは、
もう10時くらいになっていました。

ともあれ、出発こそ遅くなったけれど、予定通りというか、変更後の予定通り、北岳へ。
この時期は林道が閉鎖されているので、まずは夜叉神峠へ登っていきます。Img_6858a_2
夏だったら、バスでトンネルを通り、夜叉神峠には登らなくても
あっというまに先に進めるのに。
ただし、天気は曇りながら気温は高く、まるで夏山のような気分で歩いていきました。
風景はまだまだ冬っぽいですけどね。

で、冒頭の写真が、夜叉神峠からの白峰三山(北岳、間ノ岳、農鳥岳)。
いちばん右が、日本で2番目に標高が高い北岳、標高3193mであります。
夜叉神峠に来たのは、一昨年前の12月、鳳凰三山に行ったとき以来です。
この山行のことをあとから思い返せば、天気がもっともよかったのは、このときでした。

今回、心配だったのは、自分の体のコンディション。
僕は昨年から左膝の調子が悪く、医者によれば「安静にしていること」。
今年の冬は腰をすえて自分の本を書かねばならないタイミングだったし、
膝を休ませるためにも、日数をとられる本格的な山歩きには行かないでいました。
これほど長い期間、重い荷物を背負って山に入らなかった期間は、
ここ10年くらいでなかったように思います。
3月には西表島には行ったけれど、あまり標高差はない山だったし。
なので、雪山装備の重い荷物に自分の体がどこまで対応できるか、
そして膝がどれほど調子を取り戻しているのかは、未知数だったのです。
しかも、前日はほとんど寝ていなかったりして……。

重くなるとはいえ、アイゼン、ピッケル、ショベルにワカンと、装備は万全。
Img_6857a_2
そして、今回が初使用となる、グレゴリー“バルトロ65”。
数年前までのグレゴリーの大型パックの一部は耐久性に難があり、
僕もひとつ壊してしまいましたが、その後、十分な強度に復活したので、
改めて使ってみようと購入してみました。グレゴリーらしく背負い心地はバツグン。
耐久性に関しては、もう少し使ってみないと断言はできませんが、
たぶんもう問題ないと思われます。今年の山は、活躍してくれそう。

夜叉神峠に登ったあとは、もう一度、林道まで下り、延々と歩いてから再び登山道へ。
Img_6873a_2
そして、また写真にうつっている別の林道を目指して下っていきます。
それから、その林道をまたまた歩いていくと、
夏ならばバスでも行ける「歩き沢」の登山口に到着するんです。
つまり歩き沢までは、夏に比べると余分に標高約300m程度(夜叉神峠)を登り下りし、
さらに数十m登ってから300m(鷲ノ住山)ほど下らないと、到達できないんです。

寝不足による緩慢な歩行に加えて、どうもいまだ膝の調子が思わしくなく、
歩き沢に到着したのは、15時半くらい。
テントを張る予定だった池山御池小屋まではあと3時間ほどですが、ここからが急登。
この日の自分の体のコンディションを考えると、
到着が日没以降になる可能性が高かったので、あっさりと行動を中止し、
歩き沢登山口付近でビバークすることにしました。
ビバークといっても、適当な場所を探してテントを張ったのですが。
Img_6887a_2
林道から少しだけ山側に入り、落石を避けるために大岩の影。
こういう場所での一夜はほめられたことではありませんが、
今回は体調のこともあるので、許していただこうかと。

夕飯は明太子スパゲティ。
Img_6882a_2
いつものことながら、数種の生野菜を投入。

このビバークによって計画は変わり、翌日はわずかに池山御池小屋まで歩くことに。
予備日も取っていたので、これくらいの遅れはどうにでもなります。
とはいえ、天気は下り坂だったので、先行きへの不安感は増していくのですが。
Img_6893a_2
池山御池までの義盛新道という道、今回初めて歩いたのですが、予想以上の急登。
昨日の体調で無理に登ったら、やっぱりキツかっただろうなあ。

そうはいいつつも、3時間で登りおえ、小屋前の広場に到着。
Img_6903a_2
正確に言うと、広場ではなく「池」なんですが、雪で覆われているので、
たんなる草原に見えなくもありません。

この日はこれ以上やることもないので、テントを設営すると早い時間からダラダラ。
Img_6908a_2
今回持っていったのは、今年から日本でも本格展開されているエクスペド
“ベラ1エクストリーム”というモデル。
これは僕の私物ではなく、取り扱い会社からの借り物で、
雪山でどれくらい使いやすいか試してみようと思い、持っていってみました。
だけど結局、ぜんぜん雪の上では張らなかったのですけれど。

もうひとつ、今回の山行で使ってみたのが、ガーミンの“eTrek 30J”。
Img_6924a_2
僕は同メーカーの“OREGON 450TC”を持っていましたが、
まだそれほど使っていなかったのに、どうも紛失してしまったようで、
その代わりに購入したものです。
ああ、OREGON 450TCはどこに行ってしまったのか……。
もろもろ込みで、10万円もしたというのに。
しかし、自宅のどこかに眠っているような気もするので、
同じモデルを買う気にはならず、もう少し安いeTrek 30Jにしたのでした。

この日は1日中曇っていて、ときどき小雨も降る空模様。
Img_6919a_2
今回はカメラマンを同行した取材でしたが、
この天気では、たとえもっと高い場所まで行ったところで、まともな撮影はできません。
そんなこんなで、夕方になると雨が強くなってきて、夜には本降り。
ときどき強い風も吹いてきたり。

翌日の朝、北岳を目指すために、一応は早起きしました。
雨が吹き付けるテントから外を覗くと、意外と明るいのですが……。
Img_6935a_2
しかし雨は本格的に降っており、少しくらい待ったところで好転はしないような雰囲気。
なにしろ天気予報によると、これからもっと悪くなるのだから、
北岳に向かって行動を開始しても仕方ありません。

ここまで来ておきながら、悔しいけれど撤退を決定しました。
予備日を使うどころか、予定よりも1日早い下山であります。

降った雨が雪を溶かし、水をため始めて、昨日までは雪原だった場所に、池が復活。
Rimg0847a_2
昨日はあのあたりから雪を取って、バーナーで溶かして飲み水を作ったんだけど。

仕方がないので、雨のなか、下山を開始。
Rimg0848a_2
この後、700mほど下り、約300m登り、数十m程度下り、300mくらい登って、
だいたい300m下り……。雨のなかを7時間も歩いて、夜叉神の駐車場へ。
目的を達成できず、徒労感によって、トボトボと歩いていきました。
途中の林道にはいくつものトンネルがあり、そこだけが雨を避けられる場所でした。

最後の写真は、林道の途中から撮った1枚。
Rimg0852a_2
北岳の方向なのですが、真っ白すぎてなにがなんだかよくわからず。

それにしても、今回は最悪でした。
北アルプスから南アルプスに行く場所をチェンジし、
その時点では、天候がよければ北岳だけではなく、
間ノ岳、農鳥岳と雪の山を縦走しようと思っており、北岳山頂往復は最低限の目標。
それなのに、池山御池小屋への往復だけとは……。
初日に池山御池小屋まで登っておけば、北岳往復はできたでしょうが、
体調がイマイチだったし、登ったところで周囲は真っ白で撮影は無理だっただろうし。
うまくいかない山行はよくあるものですが、ここまでなにもできず、
達成感のないことも珍しいものです。それも取材だったのになあ。

だけど5月4日以降、北アルプスでは気の毒な遭難がいくつも起きるほど
悪天候になったことを考えると
(予備日を入れると、僕たちの最終日も5月4日の予定だったし)、
南アルプスに変更したことは正解でしたが、それでもダメなものはダメなんです。
山で無理をする必要はまったくないので。

ひとつだけよかったのは、僕の左膝の調子が、
初日以外、つまり2日目、3日目はそれほど悪くなく、ほぼいつもの感じで歩けたこと。
重い荷物に足と体が慣れたのでしょうか?
初日のように、安心して力をかけられないようだったら、
今年の山には不安が残ったのですが、おそらくこれなら大丈夫そうです。

| | コメント (4)

« 2012年4月 | トップページ | 2012年6月 »