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2012年5月 7日 (月)

南アルプス/北岳(の手前の池山付近)

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今回の連休、僕は南アルプスの北岳を目指しました。
もともとは北アルプス最北の違う山に行くはずだったのですが、
どうも雪の状態が悪そうなのと、天候が安定していないために、
北アルプスよりはいくらかマシであると思われる南アルプスに変更したのでした。
この時期の南アルプスは、2年前の「農鳥岳~伝付」縦走以来です。

その変更を決めたのが、出発の前日の夜遅く。
しかも当日の午前中に到着した甲府駅ですでに天気が思わしくなく、
本当に行くべきかどうか再び迷ったり、仕事上の連絡をとっているうちに、
タクシーに乗る時間も遅れてしまい、夜叉神の駐車場についたときは、
もう10時くらいになっていました。

ともあれ、出発こそ遅くなったけれど、予定通りというか、変更後の予定通り、北岳へ。
この時期は林道が閉鎖されているので、まずは夜叉神峠へ登っていきます。Img_6858a_2
夏だったら、バスでトンネルを通り、夜叉神峠には登らなくても
あっというまに先に進めるのに。
ただし、天気は曇りながら気温は高く、まるで夏山のような気分で歩いていきました。
風景はまだまだ冬っぽいですけどね。

で、冒頭の写真が、夜叉神峠からの白峰三山(北岳、間ノ岳、農鳥岳)。
いちばん右が、日本で2番目に標高が高い北岳、標高3193mであります。
夜叉神峠に来たのは、一昨年前の12月、鳳凰三山に行ったとき以来です。
この山行のことをあとから思い返せば、天気がもっともよかったのは、このときでした。

今回、心配だったのは、自分の体のコンディション。
僕は昨年から左膝の調子が悪く、医者によれば「安静にしていること」。
今年の冬は腰をすえて自分の本を書かねばならないタイミングだったし、
膝を休ませるためにも、日数をとられる本格的な山歩きには行かないでいました。
これほど長い期間、重い荷物を背負って山に入らなかった期間は、
ここ10年くらいでなかったように思います。
3月には西表島には行ったけれど、あまり標高差はない山だったし。
なので、雪山装備の重い荷物に自分の体がどこまで対応できるか、
そして膝がどれほど調子を取り戻しているのかは、未知数だったのです。
しかも、前日はほとんど寝ていなかったりして……。

重くなるとはいえ、アイゼン、ピッケル、ショベルにワカンと、装備は万全。
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そして、今回が初使用となる、グレゴリー“バルトロ65”。
数年前までのグレゴリーの大型パックの一部は耐久性に難があり、
僕もひとつ壊してしまいましたが、その後、十分な強度に復活したので、
改めて使ってみようと購入してみました。グレゴリーらしく背負い心地はバツグン。
耐久性に関しては、もう少し使ってみないと断言はできませんが、
たぶんもう問題ないと思われます。今年の山は、活躍してくれそう。

夜叉神峠に登ったあとは、もう一度、林道まで下り、延々と歩いてから再び登山道へ。
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そして、また写真にうつっている別の林道を目指して下っていきます。
それから、その林道をまたまた歩いていくと、
夏ならばバスでも行ける「歩き沢」の登山口に到着するんです。
つまり歩き沢までは、夏に比べると余分に標高約300m程度(夜叉神峠)を登り下りし、
さらに数十m登ってから300m(鷲ノ住山)ほど下らないと、到達できないんです。

寝不足による緩慢な歩行に加えて、どうもいまだ膝の調子が思わしくなく、
歩き沢に到着したのは、15時半くらい。
テントを張る予定だった池山御池小屋まではあと3時間ほどですが、ここからが急登。
この日の自分の体のコンディションを考えると、
到着が日没以降になる可能性が高かったので、あっさりと行動を中止し、
歩き沢登山口付近でビバークすることにしました。
ビバークといっても、適当な場所を探してテントを張ったのですが。
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林道から少しだけ山側に入り、落石を避けるために大岩の影。
こういう場所での一夜はほめられたことではありませんが、
今回は体調のこともあるので、許していただこうかと。

夕飯は明太子スパゲティ。
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いつものことながら、数種の生野菜を投入。

このビバークによって計画は変わり、翌日はわずかに池山御池小屋まで歩くことに。
予備日も取っていたので、これくらいの遅れはどうにでもなります。
とはいえ、天気は下り坂だったので、先行きへの不安感は増していくのですが。
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池山御池までの義盛新道という道、今回初めて歩いたのですが、予想以上の急登。
昨日の体調で無理に登ったら、やっぱりキツかっただろうなあ。

そうはいいつつも、3時間で登りおえ、小屋前の広場に到着。
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正確に言うと、広場ではなく「池」なんですが、雪で覆われているので、
たんなる草原に見えなくもありません。

この日はこれ以上やることもないので、テントを設営すると早い時間からダラダラ。
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今回持っていったのは、今年から日本でも本格展開されているエクスペド
“ベラ1エクストリーム”というモデル。
これは僕の私物ではなく、取り扱い会社からの借り物で、
雪山でどれくらい使いやすいか試してみようと思い、持っていってみました。
だけど結局、ぜんぜん雪の上では張らなかったのですけれど。

もうひとつ、今回の山行で使ってみたのが、ガーミンの“eTrek 30J”。
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僕は同メーカーの“OREGON 450TC”を持っていましたが、
まだそれほど使っていなかったのに、どうも紛失してしまったようで、
その代わりに購入したものです。
ああ、OREGON 450TCはどこに行ってしまったのか……。
もろもろ込みで、10万円もしたというのに。
しかし、自宅のどこかに眠っているような気もするので、
同じモデルを買う気にはならず、もう少し安いeTrek 30Jにしたのでした。

この日は1日中曇っていて、ときどき小雨も降る空模様。
Img_6919a_2
今回はカメラマンを同行した取材でしたが、
この天気では、たとえもっと高い場所まで行ったところで、まともな撮影はできません。
そんなこんなで、夕方になると雨が強くなってきて、夜には本降り。
ときどき強い風も吹いてきたり。

翌日の朝、北岳を目指すために、一応は早起きしました。
雨が吹き付けるテントから外を覗くと、意外と明るいのですが……。
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しかし雨は本格的に降っており、少しくらい待ったところで好転はしないような雰囲気。
なにしろ天気予報によると、これからもっと悪くなるのだから、
北岳に向かって行動を開始しても仕方ありません。

ここまで来ておきながら、悔しいけれど撤退を決定しました。
予備日を使うどころか、予定よりも1日早い下山であります。

降った雨が雪を溶かし、水をため始めて、昨日までは雪原だった場所に、池が復活。
Rimg0847a_2
昨日はあのあたりから雪を取って、バーナーで溶かして飲み水を作ったんだけど。

仕方がないので、雨のなか、下山を開始。
Rimg0848a_2
この後、700mほど下り、約300m登り、数十m程度下り、300mくらい登って、
だいたい300m下り……。雨のなかを7時間も歩いて、夜叉神の駐車場へ。
目的を達成できず、徒労感によって、トボトボと歩いていきました。
途中の林道にはいくつものトンネルがあり、そこだけが雨を避けられる場所でした。

最後の写真は、林道の途中から撮った1枚。
Rimg0852a_2
北岳の方向なのですが、真っ白すぎてなにがなんだかよくわからず。

それにしても、今回は最悪でした。
北アルプスから南アルプスに行く場所をチェンジし、
その時点では、天候がよければ北岳だけではなく、
間ノ岳、農鳥岳と雪の山を縦走しようと思っており、北岳山頂往復は最低限の目標。
それなのに、池山御池小屋への往復だけとは……。
初日に池山御池小屋まで登っておけば、北岳往復はできたでしょうが、
体調がイマイチだったし、登ったところで周囲は真っ白で撮影は無理だっただろうし。
うまくいかない山行はよくあるものですが、ここまでなにもできず、
達成感のないことも珍しいものです。それも取材だったのになあ。

だけど5月4日以降、北アルプスでは気の毒な遭難がいくつも起きるほど
悪天候になったことを考えると
(予備日を入れると、僕たちの最終日も5月4日の予定だったし)、
南アルプスに変更したことは正解でしたが、それでもダメなものはダメなんです。
山で無理をする必要はまったくないので。

ひとつだけよかったのは、僕の左膝の調子が、
初日以外、つまり2日目、3日目はそれほど悪くなく、ほぼいつもの感じで歩けたこと。
重い荷物に足と体が慣れたのでしょうか?
初日のように、安心して力をかけられないようだったら、
今年の山には不安が残ったのですが、おそらくこれなら大丈夫そうです。

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コメント

北アルプスでは登山経験豊富な高齢登山者パーティが亡くなって、とても残念でしたね。

しかし、今回のブログ記事を読んで、ワイルダーネスで生き延びるには
「状況に応じて臨機応変に対応する。目的地を北から南アルプスに変更し、それでも天候が悪いから頂上を水に下山を決意するくらいの勇気が重要」と教えられました。

高齢登山者の場合には「今回を逃すと、もう次はないかもしれない」というバイアスがかかりやすいとの見方もあるようですが、何事も命があって初めて可能になるのですから、このような事故が再び繰り返されないようなってほしいものです。

投稿: Akishige Iwata | 2012年5月 7日 (月) 14時23分

庄太郎さん、こんにちは!雑誌やブログの更新、いつも楽しみにしています。

連休後半は天気がイマイチで残念でした。私も18年ぶりにテントを新調したので(ムーンライト1型→ステラリッジ2型)、テストしに雲取山へ行こうと思っていました。
しかし予報を見たら、ただの修行になりそうな天気だったので、断念しました。

庄太郎さんの北アルプス本で、あれこれイメージをふくらませ、雪解けを待ちたいと思います!

投稿: こちみ | 2012年5月 7日 (月) 20時18分

お疲れさまです!

たぶん庄太郎さんが下山したあたりに、僕は青木鉱泉に。。。

今年は僕も白峰三山縦走しようと計画中です。笑

しかし、G.Wは最悪な天気でしたね。。。

投稿: カミナリおやじ | 2012年5月 9日 (水) 21時55分

Akishige Iwataさま

今回の白馬岳の事故、当初報道されていたのとは違い、みなさん装備はしっかり準備していたようでしたね。
それでも早め早めに状況に対応していかないと、遭難は起こりえるわけです。

僕も「取材」となると、状況が悪くてもなんとかページ作りができるように頑張ろうと思ってしまうのですが、撮影がうまくいかねば結局のところ意味がないし、取材中の事故はプライベート以上に大きな波紋を起こしかねないので、無理はしないようにしています。
それに自分自身、山に行けば行くほど怖くなってきて、昔の自分がいかに無謀だったのかと思わされます。
山を知らなかったから、山が怖くなかったんだなあ、と。
今だって大して山を知らないのかもしれませんが、少なくても昔よりは事故を起こす危険は少なくなっていると思います。

最近、「今の若い登山者は無理をしない」という話をよく聞くのですが、雑誌上でできるだけ山の危険についてふれる原稿を書こうと心がけているライターの一人としては、そのことに少しは役立っていることを願っています。

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こちみ様

ムーンライトからステラリッジへの買いなおしですか。
僕もムーンライトは好きなテントで(持っていないけど)、ステラリッジもいいテントだと思ってます。
北アルプスでも活躍してくれるでしょうから、天気のよいときに行ってみてください。
でも少しの雨くらいなら、むしろいい「修行」になりますよ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
カミナリおやじ様

北岳ではなく鳳凰三山という選択肢もあったのだけど、以前、雪の鳳凰三山の取材はやっているので、避けておいたんですよね。
いずれにせよ、天候はあまり変わらなかったと思うのですが。

僕も白峰三山には無理にでも今回のルートを組み込んで、いずれもう一度行きたいと思ってます。そうなったら、林道が開通してからの夏以降だろうなあ。

投稿: 庄太郎 | 2012年5月10日 (木) 01時43分

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