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2013年1月 8日 (火)

北アルプス/千丈沢~槍ヶ岳~天上沢 (廃道の谷歩き)-2

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「北アルプス/千丈沢~槍ヶ岳~天上沢」の第2回目であります。
かなり特殊なルートなので、簡単な地図は前回を参照してください。
また、今回は非常に写真の数が多く、
興味がある方は時間があるときに見ていただけると幸いです。

そんなわけで、僕たちは山中初日のキャンプ地、千天出合を出発。
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出発の1歩目からが、すでに渓流の渡渉です。
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このあたりは対岸に渡るのも一苦労。
水量が多いときは、水に全身浸からねばならないでしょうね。

昔の地図にだけ載っている「宮田小屋」の跡を探し、
河床よりも一段高く、なおかつ平たそうな場所へ。
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ほとんど自然に還っていましたが、いくつかの痕跡は発見でき、
だいたい当時の小屋の場所を把握することはできました。
ちなみに、かつてあった千丈沢の登山道には名前があり、
その名も「宮田新道」。晴嵐荘で聞いたところ、
以前、小屋で働いていた宮田さんが独力で開削した道だそうです。
その話、僕がこれまでに読んできた数百冊の山岳書にも
書かれていなかったことで、こういう話を掘り起こしていきたいものだと、
ライターの僕は強く思うわけです。

千天出合の付近は深いゴルジュ(峡谷)になっていて、
水量が多いときには通過するのが難しそうでした。
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しかし今回は水が少ないので、大岩を越える程度で、難なくクリア。

水はとても美しく、できれば夏の風景も見てみたいような場所。
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千丈沢の情報はあまり残っていないので、
大きめの滝などが出てきたらどうしようかと思っていましたが、
この時期ならば問題なく巻いていける程度の場所ばかりでした。

標高を少しずつ上げていくと、谷は広くなり、水量もさらに減少。
地形図から読み取れる以上の難所もなく、思ったよりは歩きやすいです。
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とはいえ、再びゴルジュっぽくなったりして、変化に富んでおります。
背後には燕岳あたりの稜線も見えているのですが、
このカットではイマイチよくわからないですね。

右岸、左岸から流れ込んでいるいくつかの枝沢まで来ると、
千丈沢を挟んで沢の奥にそびえる北鎌尾根、硫黄尾根も遠望できます。
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上の写真は硫黄尾根ですね。

さらに進むと水量はますます少なくなり、足を置くのはほとんどが岩の上。
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足をかけるだけで崩れてくる大岩もあり、気が抜けません。

この後、とうとう水が完全に切れて伏流になっている場所が
ときどき現れるようになり、少々悩んだ挙句、この日は行動を中止。
翌日の行動を考えると、もっと稜線に近い場所へ進みたかったのですが、
それ以上進むと、完全に沢の水が地表から切れてしまい、
飲み水が確保できなくなる可能性がでてくる、という判断からです。
水筒にたくさんの水を入れて行動すればよいとも考えられますが、
わざわざ沢を歩いているのに、それもバカらしいと思いまして。

で、山中2日目のキャンプ地。
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テントの前に、水がわずかに流れているのがわかるでしょうか。
後ろには北鎌尾根がそびえております。

3日目。
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標高を上げていくと、北鎌尾根が存在感を増していきます。
数年前、よくもあそこを歩いたものだと、我ながら感心。

千丈沢をさらに登っていくと、いつしかゴロタ石ばかりに。
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紅葉は終わりかけとはいえ、なかなか美しかったですよ。
あまりきれいに写っていないのは、カメラのせい。

西鎌尾根がだんだんと見えてきました。
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左は槍ヶ岳。

上の写真から、場所と画角を変えて撮ったカット。稜線を見上げています。
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こちらのほうが、千丈沢の最上部、僕たちが登っていくルートがよくわかるはず。

反対に見下ろすと‥‥。
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道もない場所を、なんとか登ってきたのがわかります。
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どこを歩けばいいのかわからないほど、1歩進むだけで崩れるガレ場。
ヘルメットを持っていって、やはり正解でした。
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このあたりまで来ると、西鎌尾根を歩いている人もときおり見え、
やっと一般登山道が近づいてきたことを実感。

そして、とうとう西鎌尾根の登山道へ到達。斜面の歩きやすさの関係で、
千丈乗越から若干だけ北側にずれた場所から登りつめました。
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ここまで来てしまえば、かなり安心。なにせ、普通の登山道ですからね。

千丈沢を歩いていたときには、はるか頭上にあった槍ヶ岳が
さほど遠くない位置にあることがわかります。
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これから山頂を目指すわけですが、今回はオプション的な扱い。
次に向かう天上沢に至るまでのルート上にある「通過点」という感覚です。

西鎌尾根の南には、奥丸山。
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そして飛騨沢には登山道。9月初旬に歩いたときとは、
千丈乗越付近の風景含め、かなり雰囲気が変わっております。
北アルプスでは、もう晩秋なのです。
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延々と歩いてきた千丈沢を見下ろしながら、縦走開始。
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当たり前だけど、道なき道を歩いていた沢に比べれば
圧倒的に足場がよく、あっという間に標高を稼げます。

天気はイマイチながら、槍ヶ岳山荘に到着。
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小屋じまいの準備も進んでおりました。

これまでに何度登ったかわからないほどの、槍ヶ岳山頂への岩場。
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季節はずれなので、他の登山者は数えるほど。

これまたいつもの、最後のハシゴ。
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今回いっしょに行った泥谷くんは、これが初めての槍ヶ岳。
初・槍ヶ岳が千丈沢をさかのぼるルートからだなんて、
この数十年では、ほとんど誰もいないでしょうね。

山頂から見た北鎌尾根。
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その左側が、僕たちが歩いてきた千丈沢であります。

上の写真から若干角度を変えると‥‥。
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右側には、これから下っていく天上沢が。
今回のメインの2つの沢を眺めるために、山頂へ登ったようなものです。
もう少し、ガスがかかっていないとよかったのだけど。

山頂ではお決まりの記念写真。
Rimg1420aa  Rimg1421aa
そういえば、僕だけ撮らなかったけれど、まあいいか。

(まだ続く)

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山(やま)」カテゴリの記事

コメント

初めまして!わたしも2012年10月6-8日で湯俣~千丈沢遡行~千丈乗越~槍平小屋~奥丸山に登って下山しました。
槍にも登ろうと思っていたのですが、あいにく、2日目はガスっていて登っても景色も臨めないだろうということで、槍平に下りました。
小屋締め前とは、この記録はその直後でしょうか?
わたしは、2011年の6月に燕岳に登ったときに、千丈沢を見て、遡行しやすそうだし、気持ちよさそう!!と思い、絶対に遡行しよう!と決めてました。
ネットで調べると、宮田新道のことが出てきて、しかも数年前の岳人で特集されてたのを偶然にも見つけ、2泊3日で計画を立てました。硫黄尾根と北鎌尾根に挟まれた谷ってすごく贅沢ですよね(*^-^)
特にわたしは硫黄尾根がすごく魅力的に見えました☆
中山沢詰めたら赤岳かーーと思ったり♪
人があまり入ってない場所ってワクワクします!
残雪期って千丈沢は雪渓で登れたらいいのになぁと思って検索してるときにこちらのブログを拝読しました。
次は伊藤新道を下山に使用することと、薬師見平に行きたいなーと思っています。。

投稿: カオリ | 2013年1月31日 (木) 11時05分

カオリさま

お、同じルート、歩いたんですね。
タイミング的には、僕たちのほうが2日ばかり遅く沢に入ったようです。
そういえば、千丈沢には人が歩いた痕跡もありました。
あれって、カオリさんだったんですね。

伊藤新道は『山と渓谷』の取材で数年前に歩き、今年はプライベートでいくつもりです。
薬師見平も数年前から狙っていますが、廃道となった高天原新道はヤブが濃くて現実的ではないので、赤牛岳から下りて行く計画。
どこかで会うかもしれませんね。

そういえば、このブログで次に書こうと思っていることは、ちょうどその伊藤新道の伊藤家に関係することです。

投稿: 庄太郎 | 2013年2月 1日 (金) 14時04分

高天原新道は確かに厳しそうですね;
赤牛岳から尾根を下る方法も考えているのですが、30年前の記録はあるんですが、ここ最近で到達した記録がないんですよね。。
途中まで下ったという記録は見つけましたが、下部はかなり藪が濃いそうです;残雪時期に行けないかなぁと思ったり色々考えていますが。。
わたしは、多分、沢登りで行くと思います。
もし行かれたら、ぜひブログに書いて下さいね(*^-^)
伊藤家のブログも楽しみにしています☆

投稿: カオリ | 2013年2月 1日 (金) 16時22分

カオリさま

たしかにヤブはひどいらしいですよ。
でも、やはり赤牛から下るのが、いちばんラクだと聞いた記憶も‥‥。
ウェブで検索すれば簡単に情報が入手できる場所よりも、
こういう場所のほうが面白いですよね。

投稿: 庄太郎 | 2013年2月 2日 (土) 00時05分

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