街(まち)

2013年5月23日 (木)

八重山諸島/2013年度・西表島遠征-2

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前回の続きです。

鹿川で2泊目を過ごした僕たちは、ここからさらに西側の海岸へ。
西表島の無人地帯のなかでも、僕もまだ足を踏み入れていない場所なので、
前日までとは高揚感が違います。やっぱり初めての場所はいいものです。

砂浜を少し歩くと、またしても岩ばかり。
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潮が引いている時間帯を狙って歩いているのですが、
場所によってはそれでも海の中を歩けず、岩を伝って行かねばなりません。

この日、楽しみにしていたのが海岸近くにある「滝」の存在。
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まあ、そんなに大きいものじゃないんですけどね。

この日も暑いし、ここ数日汗をかき、海水まみれになっているので、
水浴びができるのはすばらしいことであります。
それに、ものすごく焚き火臭くもあったりして。
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ツッチーが滝に打たれている姿を見るのは、もう何度目のことか……。

この日の天気はいまひとつで、引き潮だというのに
リーフ内に波が打ち寄せ、思ったよりもスムーズに歩けません。
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水深が低くても足元が見えにくいので、おそるおそる進まねばならないんですね。

地形図から判断するに、ここから先は断崖が連続しているはずの場所。
僕たちは潮が引いているうちに、突破するはずだったのですが……。

予想以上に巨大な岩が目の前に現れてしまったのです。
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なんとか先行する2人は、その上に登っていきましたが、
僕の位置から見ると、下の写真のような感じ。
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で、この裏側は切り立った断崖絶壁になっているのです。

ツッチーとともに四方を歩き回り、突破口を探しますが、
ラクに行ける場所はなし。
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陸地にはものすごいトゲを持るアダンが茂っていて、
そこをヤブ漕ぎするわけにはいかず、かといって少しずつ満ち始めている海は
波が激しくて、歩いては行けそうにありません。
まあ、泳げばいいのですが、その先もどうなっているかわからないし。

さてどうするかと考えながら眺める、これから歩きたい海岸。
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そんなとき、ますます風が強くなり、スコールのような雨も降ってきたりして。

潮が満ちてくると、行くにしろ戻るにしろ厄介なので、
小一時間ほどこの場所でウロウロしたあげく、結論は「今回は撤退」。
来年にまた挑戦しようということになったのでした。

こういう場所があることをしっかりと調べていないのが悪いといえば悪いのですが、
事前に調べ過ぎると「この先はどうなっているのかな?」という気持ちもなくなり、
正直言って面白くなくなるため、下調べはあえてそこそこしかしないんです。
今回のように危険だったら、中止すればいいだけですし。

そういえば、今回は僕たちと前後して歩いている単独行のおじさんがいたのですが、
やはりこの場所で先に進めなくなり、なんとほとんど丸1日同じ場所にとどまり、
翌日の干潮のときになんとか渡っていったのだとか。
ものすごい忍耐力と根性であります。

しかし、なにがなんでも無人地帯を1周するということよりも、
それほど頑張らないで快適に過ごすほうが好みの僕たちは
再び鹿川を目指し、同じルートを引き返していったわけです。
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しかし、潮が満ちつつあるので、行きには歩かなかった岩場を通ることが増え、
ちょっとばかり面倒くさいのであります。
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鹿川につづく海岸が見えててくると、ひと安心。
しかも行きで楽しんだあの滝も、この崖の裏にあるはず。

だけど、まさか1日に2度も滝で水浴びをすることになるとは。
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ちなみに、僕たちはこの水をそのまま飲んでいました。
いわゆる生水。お薦めすることはできませんが、なかなかうまい水でした。
ここに限らず、行動中はずっと川の水です。

なんとか水位が腰くらいのうちに、鹿川に戻りたいと、
このあたりでもけっこう頑張っております。
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戻り道にはもっと水深が深く、波も激しい場所もありましたが、
そのときはかさねちゃんの体は水の中に浮き、
それを後ろを歩く僕が押さえて、なんとか前方に進むという具合。
写真なんぞ撮っている余裕はないので、
残っている写真はこれくらいおだやかな場所しかないのです。
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波はないとはいえ、すでにけっこう深いですよね。
でも、これくらいになると余裕が出てくるので、
僕は岩にくっついているカサガイの仲間をひたすらはがし、
夕食用にいくつもキープしたりしていたのでした。

そして戻ってきた鹿川。
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気分を変えるために、昨日とは違う場所にキャンプ。

で、またしても僕の今回のテント。
この写真にはちょっと面白いものが写っているもので。
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正面と右でテントのペグ代わりになっているのは、じつはモリ。
今回、なんとか参加しようと頑張っていたものの、
直前で断念したライター仲間の藤原祥弘くんが、
西表島用に手造りしていた「トレッキングポールにも使える」
2本分割式、全長3m近くあるモリなのです。
僕はそれを借りていったのですが、実際はペグ代わりに活躍するばかりで。
その前にはゴローの特殊ブーツも干されております。

この夜、僕たちはまたしてもテナガエビとカイを焚き火で食い、
泡盛なぞを飲みながら、翌日からの行動をどうするか、考えたのでした。

(続く)

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2013年5月 6日 (月)

『激走! 日本アルプス大縦断』という本のこと

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連休前、このような本が発売されました。
タイトルは『激走! 日本アルプス大縦断』。
富山湾を出発し、北アルプス~中央アルプス~南アルプスの稜線を走り、
最後には駿河湾に出るという、総距離415キロの
トランスジャパンアルプスレースのルポルタージュであります。
著者の名義は「NHKスペシャル取材班」で、
番組では触れなれなかった数々のエピソードが盛り込まれています。
この本のことは、もうすぐ発売される某雑誌の書評ページで書いたので、
もろもろのことはそちらを見ていただければ幸いです。

しかしまあ、ものすごいレースですよ、これは。
僕は直接、その模様を見たことはないものの、
以前の回に優勝した田中正人さん、間瀬ちがやさんと
北アルプスをいっしょに走ったことがあり、
(いや、正確には僕はほとんど歩き。取材だったので)
その過酷さは何度も耳にしていたんですよね。
なにしろ、まともに休むこともなく、5日間ちょっとで415キロ走るんだから。
それに、これまでにも知り合いのカメラマンがこのレースの撮影を担当していて
話を聞いていたし、今回の表紙の撮影も前から知っている藤巻翔くんですし。

ちなみに発行は、僕が以前勤めていた集英社。
まさか、こんな本が自分と縁のある出版社から出るとは……。
それも担当編集は、僕の大学時代からの先輩なのであります。

山やアウトドアに興味がある人なら、絶対に面白いはず。
でもたぶん、これを読んでも、
このレースに出ようとは思わないはずですけれど……。
まずは書店で手にとってみてください。

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2013年2月 8日 (金)

八幡暁×荻田泰永 トークセッションライブ

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昨日、『No Nature トークセッションライブ』の
第1回目を聞きに行ってきました。

ゲストは、八幡暁(海洋冒険家)荻田泰永(北極冒険家)
話がかみ合うのかな、と思う組み合わせでしたが、
そこは人力で辺境地を旅し続けている2人、
予想以上に話は面白く、2時間あっという間でありました。
お客さんもたくさん集まり、僕は無駄に席を埋めないようにと、
知り合いの関係者が集まる区画に座り込み、
しかしビールなぞ飲みながら、リラックスして拝聴。
その内容は多岐に渡りすぎているうえに、
とにかく長いのでここでは書ききれないですが。

これまでに何度も北極圏を歩き、
現在、「北極点無補給単独徒歩到達」を目指している
荻田さんの話を聞くのは初めて。
サラリーマンっぽいスーツも似合いそうな、さわやかなルックスながら
けっこう足も太そうだし、さすががっしりした体つき。
今回はトークショーだったので、一方的に話を聞くだけで、
僕はせいぜい挨拶する程度でしたが、
いずれじっくりと話を聞いてみたいところ。
僕も終了後の関係者の飲み会に誘ってもらったのですが、
家に残してきた仕事のために帰らなければいけないのが残念でした。

その「北極」の荻野さんに対し、
八幡くんは『グレートシーマンプロジェクト』という、シーカヤックで
オーストラリアと日本をつなぐ長大な旅を
数回に分けて断続的に続けている男。
八幡くんは僕も以前からよく知っていて、
西表島から新城島までいっしょにシーカヤック漕いだり、
どこということもなく各地でいっしょになったりと、
これまでにもいろいろと話を聞いたことがありました。
まあ、とんでもなくすごい男ですよ。スター性もあって。
会うたびに「オーストラリアから日本までは誰でも漕げますよ」と
いかにも簡単そうに話をされるのですが、一方で
「だけど24時間は連続で漕げるだけの訓練はしないと」とも。
それでも八幡くんにそういわれると、オレもいっしょに漕ごうかな、と
つい考え始めてしまうのが、恐ろしいのであります。

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そういえば、今回の2人の共通する肩書きが「冒険家」。
会場で八幡くんが照れを見せていたように、本人がどう思うかはともかく、
メディア上のわかりやすい肩書きとなると、これなんでしょうね。
ただ、まだあまり話したことがない荻野さんはともかく、
実際の八幡くんは、冒険家ではなく、探検家に近い存在。
本人も力説しているように、誰もしたことがない旅をしたいのではなく、
「辺境地の漁村をまわり、未知の文化を知る」という
明確な目的があり、文化人類学的なフィールドワークが
旅の根本の部分にあるわけなんです。
でも、いまだ人間を食う部族が住むという海を進み、
それ以上に恐ろしい共産原理主義者たちが跋扈する海を
渡っているのだから、やはり冒険という意味もあるんでしょうけれど。

そもそも「冒険」と「探検」がどう違うのか?
このことを語ろうとすると話が長くなりそうなので、
僕のなかの定義をものすごく端的に、短く表現すれば、
「冒険者=芸術家」であれば、「探検家=学者」。
スコットとともに南極を探検した
アプスレイ=チェリーガラードの有名な言葉に
「探検とは知的好奇心の肉体的表現である」
というものがあり、
八幡くんが行っているのは、まさにこの言葉の通りなんですよね。

山のことを考えてみれば、ヒマラヤなどに多くの未踏峰が残っていた
山岳の歴史初期の登山家は探検家に近く、
すでにあらかたの場所に登り終わってしまった時代、
つまり現在の登山家は冒険家に近いのかも。
昔は未知の山岳地帯、未知の山頂を知るという探検的目的も強く、
未知の世界が少なくなった今は、
それよりも自分という存在を登山という行動で表現したいという
自己表現の面が強く、だからこそ芸術的なのではないかと思います。
そしてすべての人が、探検家的か、冒険家的かに分けられるんでしょう。

適当に書いていたら、やっぱりやたらと長くなってしまったので、
このくらいでもうやめておきます‥‥。

しかしまあ、トークライブは面白かった。
この2人にはこれからも注目しておくべきだと思います。




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2013年2月 5日 (火)

アウトドアカルチャーのニュースサイト「A kimama」

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僕の仕事や遊びのアウトドア仲間たちが、
上の画像(勝手にキャプチャ)のようなウェブサイトを立ち上げました。
それも公開されたのが昨日のことと、できたてホヤホヤ。

アウトドアカルチャーのニュースサイト「A kimama」であります。

まだ始まったばかりなので、内容の充実はこれから。
とはいえ、すでに読むべき記事はなかなかそろっていますよ。
コツコツ書き溜めていたんだろうなあ。

個人的にとくに楽しみなのが、ライター仲間・藤原祥弘(通称ヨッチ)の
「ご近所狩猟採集ライフ」という連載。
ヨッチは水陸両用で食えるものをなんでも野外からとってきてしまう男で、
とくに「採る」よりも「獲る」腕前は大したもの。
これまでにヤツが獲ってきた(モリで)デカい魚を味わったことは数え知れず、
今回の連載で書いている「ミッドナイト潮干狩り」で獲ったアサリを突然もらい、
味噌汁にしたこともあります。メカブなんかも。

他の記名ありの連載では、林拓郎さんの「THE FIELD OF HEAVEN」もあり、
これから各分野のガイドさんを紹介していくようで、
これもまた興味深い内容です。

ともあれ、どの記事もきちんとプロが作ったもので、なにかと役立つはず。
まったく役立たなくても、どこか面白いはず。
そんなわけで、おヒマな方は、サイトを覗いてみてください。

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2013年1月 5日 (土)

あけましておめでとうございます。

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あけましておめでとうございます。
もうすでに1月5日ですが、まあ一応。

山ではたびたび、ヘビには遭遇しているはずなのに、
意外と写真には撮っていないものですね。
これまでに撮影した画像を探してみても、なかなか発見できず、
やっと見つかったのが、上の写真。
数年前に行ってきたボルネオでのカットでありました。

今年がどういう年になるのか、今のところまったく見当もつきませんが、
とりあえず仕事は例年のように雑誌を中心としつつ、
夏前に予定している3冊目の本を出すために、雑務をたんたんとこなしていくのみ。
直近でのプライベートでの楽しみは、
これまた例年のように、春の西表島遠征です。

それでは、今年もよろしくお願いします。

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2012年12月17日 (月)

写真家・小林紀晴さんのカレンダー 『八ヶ岳』

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来年用の美しいカレンダーを探している山好きのみなさん、
僕からのお薦めはコレですよ。
写真家・小林紀晴さんの『八ヶ岳』であります。
ほぼ1年前の昨年の紅白歌合戦で、小林さんが撮影した写真
(東日本大震災のときに生まれた赤ちゃん)が使われたことなど、
何度かこのブログでも紹介している方です。

昨年、同様にこのブログでく写真家の矢島慎一くんのカレンダーを紹介し、
その5月の部分に僕が風景に入り込んでいる写真が
使われているなどと書いた記憶もあるのですが……。
じつは、この小林さんのカレンダーにも、僕が写っております。
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これは僕がカレンダーを複写したものでしかなく、
実際の印刷物は、もっときれいなんですねどね。
もっといえば、小林さんのオリジナルプリントは、この比ではないはず。

ちなみにこれは、2009年1月の北八ヶ岳。
このときは2人だけで、プライベートで行ったのですが、
結果的に同年の春の『PEAKS第1号』にも掲載されています。
当時はまだ月刊誌ではなく、不定期のムック扱いでした。

で、この使ってもらった写真を見ているうちに懐かしくなって
そのときに僕が撮った写真を探してみると……。
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まったく同じ白駒池の上にいる小林さんを発見!
上の写真と比較してもらうと、面白いでしょう。
小林さんが撮影した写真は、僕が適当に撮ったものとは違い、
さすがに趣があって、すばらしいです。

というわけで、山のカレンダーをお探しの方は、ぜひこちらを。


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2012年11月29日 (木)

「登山」モチーフの雄勝石アート作品

先日、仙台の実家に戻ったときのこと。
あるモノを、両親からプレゼントされました。
それも「庄太郎は絶対に喜ぶはず」と自信満々で。

あまりにも自信たっぷりなので、
正直なところ「気に入らないものだったらどうしよう?」とか、
「ものすごくセンスが悪いものだったら、どういう反応をすればいいのか?」とか、
受け取る前にいろいろなことを考えてしまったわけです。
だって、両親と好みが同じことって、あまりないじゃないですか。

そんなわけで、そのプレゼントが下の写真。
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なんだこれ、すごくいいじゃん!

バックパックを背負って山を歩いている人の姿ですね。
見るところ、2人はザイルでつながれているので、雪山なのでしょう。
僕の両親は「まるで雑誌に載っている庄太郎のようだと思って」買ってくれたのでした。

東京に戻ってから、このプレートを作っている方のことを調べてみたところ、
僕の地元、宮城県の石巻に拠点を持つ生田目富紀夫さんらしく、
下地になっている黒い石は、特産物の雄勝石。
雄勝石は現在は石巻市になった雄勝町の原産で、硯(すずり)の原料でもあり、
先日復元された東京駅の屋根に使われているスレートも、これなんです。

以前から東京駅用に、数万枚の雄勝石スレートが用意されていたようですが、
大震災のとき、雄勝町は津波に飲み込まれ、
東京駅の復元にも大きな影響が出る寸前に。

しかし、地元の人々の熱意でかなりの量のスレートが泥の中から拾い出され、
一枚一枚洗浄されて、なんとか東京駅の復元に役立ったのでした。

そんな雄勝石の作品が、こういう形で僕の家に来るとは、うれしいものです。
もともと雄勝町は父の田舎に近い場所にあり、
僕には子供のころから、なんとなく馴染みが深いんですよね。

よいものをプレゼントしてくれた僕の両親に感謝。
それにしても、親からプレゼントをもらったのって、
中学生のころ以来かも。

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2012年11月 3日 (土)

映画 『Japan in a Day』、本日より公開

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今年3月、このブログでも紹介した 『Japan in a Day』プロジェクト
東日本大震災からちょうど1年後の2012年3月11日、
その日の「日常」を切り取ったムービーを一般の人に応募してもらい、
それを元にあのリドリー・スコットが製作総指揮をとって
1本の映画にまとめる、というものでした。
僕とは同じく仙台市出身で、しかもなぜか中学~大学まで学校がいっしょだった
フジテレビに勤務する早川という男が、プロデューサーとしてかかわっております。

その『Japan in a Day』が、今日から全国で公開されました。
詳しいことは、『Japan in a Day』のHPを。
いや、FACEBOOKのほうがわかりやすいかな。

この映画のために応募されたムービーは、
世界12ヶ国、8000本、300時間になるそうで、
それをすべてチェックしてセレクトし、編集するのは非常に大変だったようです。

公開は本日、つまり11月3日というわけですが、
これってたぶん、3月11日をひっくり返した日なんでしょうね。
ちょうど土曜日でよいタイミングだし。
確認しておけばよかったのですが。

僕自身は先月のうちに試写会で見てきました。
見ているときはぜんぜん気づかなかったのだけど、
途中でどうも僕と早川の同級生がちょっとだけ写っていたとか。
応募したものが、リドリー・スコットに選ばれたんですね。

で、映画の感想を申しますと……。
僕自身が被災地出身で、しかも仲のよい友達が
製作に携わっているということを差し引いても、非常によかった!
こういう映画に「よかった」という言葉はなんだか合わない気もしますが、
とにかく感動してしまいました。
とくに3月11日の地震があったその時間に、
日本各地でささげられていた黙祷の様子が連続して流れてくる時間帯、
どうしても涙が流れてきてしまい……。
試写会の会場でも、各方向から嗚咽が聞こえてきました。

この映画はあくまでも、地震から1年後の日常を撮ったもので、
とくにナレーションなどが入るわけでもなく、
おおむね時系列を追ってムービーがつなげられている体裁になっており、
必ずしも被災地の風景ばかりが出てくるわけではありません。
だけどやはり被災地の風景は何度も繰り返されて映し出され、
僕が自分が子どものころに遊んでいた場所などが突然出てくると、
ぐっと胸が締め付けられるような気分になりました。

そういえば、試写会で資料をもらうまでしらなかった事実がひとつ。
この映画、僕の友達の早川は偶然プロデューサーとして関係しているわけではなく、
なんでも彼が自分からリドリー・スコットにメールを書き、
こういう映画を作ってもらえないかとアプローチしたことから始まった
プロジェクトだったらしいんですよね。
僕に話し忘れていたのか、あえて話さないでいたのか。
ともあれ、それを知って、「本当にいい仕事をしたな、早川」と
自分の友達を誇らしく感じます。
地震の直後、早川が僕の家までやってきて、
ろうそくの炎の明かりの中で、いろいろ話し合ったときのことを思い出しました。
その早川が家に来たときのことは、一昨年前のブログに書いてあって、
それを自分で読み返してみると、ますます感慨深くなってしまいます。
まさか今になってこういう映画ができるとは、すごいことです。

試写会の後に早川と話していたときに聞いたのですが、
この映画の収益は、すべて寄付にまわすとのこと。
こういうことを宣伝の一環のように思われたくはないので、
自分たちで公表したりはしないらしいです。いい話ですね。

そんなわけで、みなさん、ぜひ映画館に足を運んでみてください。

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2012年3月19日 (月)

最近、パラパラと めくっている本(後編)

もうけっこう前に前編を書いた「最近、パラパラとめくっている本」の後編です。
いまさらな感じもしますが、以前「前編」と書いちゃったので、
「後編」もやらないと収まりが悪い気がして、今回アップしております

では、早速。
こいつはけっこう大判の『白い山脈』。
昭和32年発行なので、今から55年くらい前のもの。
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本の左下に「日本アルプス探検記録」とありますが、中身はすべて北アルプスのこと。
この本はどうやら同名の映画『白い山脈』を作る際の記録の一環だったようです。
僕はその映画を観たことがないのですが、
北アルプスを舞台にした、動植物を中心とする記録映画とのこと。
だから、本の内容もクマやらなにやらの動物や植物の記述が多く、
それに加えて、昔の山人の話や伝説的な話も載っていて、なかなか面白いです。
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古本屋やアマゾンでは2000円程度で手に入ります。

これは、ずっとずっと探していた『黒部・底方の声』。
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黒部峡谷の「高熱隧道」にまつわる興味深い内容が書かれています。
ある意味、あの有名な吉村昭の小説『高熱隧道』には描かれていない
裏の歴史というか、アナザーストーリーのようなものです。
工事のときにかなりの人数が入っていたという
朝鮮半島出身の人夫の方々の話が中心に据えられています。

下の写真の右ページは、高熱隧道の工事が行なわれていたころの
阿曽原温泉の宿舎の様子。
ああ、この本がもっと早く手に入っていたら、
昨年『PEAKS 12月号』で書いた高熱隧道をめぐる旅のルポ、
もっと面白い内容に膨らませられたんだけどなあ。
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この本はちょうど20年前に発行されていて、比較的新しいといえば新しいのだけど、
いくら探しても見つからなかったんです。
そんなわけだったので、発見したときはけっこう高価でしたが、迷わず購入。

これは本ではなく「東和シート」という会社のパンフレット。
昭和4年のものというから、83年前のものですね。
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表紙含めて10ページほどの薄手ですが、版型はA4よりもデカいです。
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写真だとわかりにくいけど、いろいろな形のテントがあって、けっこう面白いです。
サイズの表記は「坪」「尺」「間」という感じで、だいたいどれも4~5人用。
お値段は当時の価格で20~30円が多いようです。

これもまた、同じころのパンフレット。
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発行元は、なんと大丸百貨店、正確にいえば、大丸運動具部であります。
当時は百貨店が、山岳用具を売るためにパンフレットまで作っていたんですね。
26ページで、版型はA5。このパンフレットから通販もできたようで、
手紙を書いて注文するという形式。電話番号も一応載ってますが、たった4桁でした。
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右ページは、昔の登山用ウェア。
こういうスタイルで山を歩いていたとは、カッコいいかも。
実物を見てみたいものです。

前から集めていた山渓文庫の「アルプスシリーズ」。
北アルプスに関するものだけでも全部ほしいのだけど、
なかなか見つからず、やっと4冊に。
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50年くらい前の発行で、いったい何冊のシリーズだったのかすら、わかりません。
今度、山と渓谷社に行ったときに調べてもらおうかな。

というわけで、山の本といえば、いつも古本ばかり。
日本では、山は文化そのもの。新しい本を読んでいても得られない情報が、
古本のなかにはつまっています。
当然、ウェブで検索してもまったく出てこない話ばかり。
やっぱり本は偉大だ。

しかし、新刊も面白そうなものがあれば、もちろん買っております。
こちらは吉田智彦さんの『信念 東浦奈良男 一万日連続登山への挑戦』。
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中身は僕が説明しなくても、本の帯に書いてある通り。
27年間、毎日山に登り続けるとは、どういうことなんでしょう?
しかも、見るからに独特な格好で。
だけど東浦さんは、1万日まであとわずかというところで亡くなってしまうんです。

著者の吉田さんとは何かの会などでたまにお会いするのですが、
このあいだ、この本についてお聞きしてみたところ、
じつはこの本を出版する最後の作業中に東浦さんが亡くなったとのことで、
出来上がった本を見せることもできず、非常にショックだったそうです。
もともと1万日記録達成のタイミングで本が出ることになっていたのかもしれません。

これは間違いなく、いい本ですよ(本当は、まだ読み終わってないんですが)。
吉田さんと僕はほとんど年齢が変わらないのですが、
このような本をまとめるとは、本当によい仕事をしているな、と思います。
ちょっとうらやましいくらい。
僕もいずれ、このような何かを深く掘り下げた本を出せるといいのだけど‥‥。
ともあれ、お勧めです。



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2012年3月11日 (日)

誕生日、おめでとう。

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以前、このブログでも紹介した写真家・小林紀晴さんの写真が収められた本が、
すでに発売されております。

タイトルは『ハッピーバースデイ 3.11』。
1年前の今日、被災地で生まれた赤ちゃんが、ここで何人も紹介されています。

あれから、もう1年か。
被災地で生まれ育った僕は今でも当時の写真を見ていると、
涙が浮かんできて困るのですが、
この本の写真はいくら見ていても、気持ちがあたたかくなります。
並河進さんも文章もすばらしいです。

今日、書きたいことは、これだけ。

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より以前の記事一覧