前回は「三峰~雲取山」の簡単な山行記録でしたが、
今回はそのときに持っていったいくつかのギアについて。
僕はプライベートで山に行くときには、
その山や季節に適しているとかいないとか、個人的な好き嫌いとかには関係なく、
新しいギアやウェアを試してみることを、よく行なっています。
道具の紹介ページを作ることもよくあるので、今後の仕事のためですね。
例えば、以前、冬の愛鷹連峰でも同じようなことをした記憶があります。
比較的安全度が高い山ならば、
たとえそのギアがイマイチだったとしても、我慢する程度で無事に帰れますから。
そんなわけで、このときも自分で新しく買ったもの、
発売前/発売後のサンプルを含め、いろいろなギアのお試しをしてきました。
背負っていったのは、ダナデザインの「カーブル45+5」。
普段だったら、あまり僕が使うタイプではないのですが、
パックカバーや各種ポケットなど、いろいろなギミックがちりばめられていて、
ちりばめられすぎていると思えるほど。
ディテールの工夫に興味がある人は楽しく使えるのでは?
容量も45ℓ程度なので、あまり重い荷物は厳しそう。
個人的にはヒップハーネスのポケットが大きいのが気に入りました。
こちらは同じく、ダナデザインの「ホラズム2」。
シンプルそうでいて、5本のポールをハブで組み合わせており、
慣れない人は設営に手間どるかもしれません。
その代わりに内部は広くて居住性は高く、重量は約1.9キロ。
ただ、今回は冬で乾燥していたこともあり、
夏に使うとどのくらい結露するかは未知数です。
内部で寝転ぶと顔の上にメッシュパネルが位置するため、
ひどく結露するとフライから水が顔に滴ってくる可能性もありますが、
今回、たった1泊した程度では判断できません。
でもこれ、予想以上に使いやすいテントですよ。
僕自身は普段、このように入り口が
縦の狭い部分についているテントはあまり使わず、
個人的には横に入り口がついているタイプが好きなんですけれど。
でも、そのあたりはあくまでも個々の好みでしかありません。
その内部に敷いたマットは、サーマレスト「ネオエアー Xサーモ」。
これは『PEAKS 1月号』の山岳ギアのインプレッション特集で、
雪の立山連峰ですでに試したことがあるもの。
そのときに気に入ってしまい、購入してしまったわけです。
全身サイズで430gと軽量でいて、雪の上で寝ても冷えることがなく、
収納も非常にコンパクト。厚みが6.3センチもあって弾力性も十分ですが、
それだけあって空気を入れるのだけは大変。
そこで僕はマットとともに「ポンプサック」という
40ℓのドライバッグとして使える袋状のポンプ
(上の写真の右にあるオレンジ色のもの)もいっしょに購入しました。
これがあれば空気入れはラクラクであります。
しかし、ポンプの40ℓはちょっと大き過ぎ、
できれば20ℓくらいのものも作ってほしいところ。
ちなみにマットに付属しているスタッフバッグもポンプとして
使えることになっていますが、縫い目が処理されていないので、
マット内に空気を入れるために圧力をかけると
その縫い目から空気が抜けてしまい、まったく実用的ではありません。
付属スタッフバッグ以外は文句がないマットなのですが、
問題があるとすれば値段でしょうね。
レギュラーサイズで、23100円だからなあ。
そして、そのマットと組み合わせて使ったのが、ニーモの「ノクターン15」。
前にカヤックで下った久慈川でも使っていますが、山で使うのは初めて。
久慈川のときと繰り返しの説明になりますが、これは日本では未発売で、
本国アメリカでは「2012 LIMITED EDITION」として
数量限定でニーモのHPから販売されていたもの。
シリアルナンバーが入っていて、僕のものは「26/42」です。
日本でももうすぐ発売になり、今後、僕も雑誌で紹介することになっているため、
ここでの説明は控えめにしておきます。だけど、これはいいですよ。
僕の「ノクターン15」は-9℃くらいで快適なタイプで、
気温が高かった今回の山行(最低気温0℃くらい)では十分すぎる性能。
他のモデル含め、日本のHPでも近いうちに発表されると思います。
ニーモは面白い製品をどんどん開発してくれる上に、
日本からの要望にもすばやく対応する柔軟性があり、
僕が非常に好きなブランドのひとつになりつつあります。
もうすぐ昨年の人気モデル「タニ2P」のソロバージョンも発売されますが、
おそらく今期のテントの新製品ではいちばん面白いものなのでは?
ヘッドライトは、買ったばかりのブラックダイヤモンドの「コズモ」。
なんだか雑誌でそのまま使えるくらい、きれいに撮影できたぞ。
でもこれ、必要なかったんですけどね。
じつは、これまでに使っていた同社の「スポット」が出発前に見当たらず、
紛失したと思い込んで、急いで買ったもの。
僕は他にもいくつものヘッドライトをもっているのですが、
撮影用に貸し出したりしていたし、同じスポットを買うのは悔しいし、
もしも見つかったら同モデルが2つになってしまうと考え、
あえて1つ下のモデルともいえる、こいつを選んだのです。
しかし案の定、この山行から戻ったら、
スポットはあっけなく見つかってしまい‥‥。
でも、このコズモも気に入ったので、よしとしましょう。
で、これまでに何度か雑誌やこのブログで紹介しているSOTOの新型ストーブ。
発売は4月で、仮名称は「SD-310」ですが
まだ正式なモデル名は決まっていないのかな。
左がもともとついている3本ゴトクで、右がオプションの4本ゴトク。
ゴトクはバーナーヘッドから完全に取り外せるため、
このような使い分けができるわけです。
上の写真は『ビーパル2月号』で紹介するために、自分で撮影した2つのゴトク。
安定感は4本のほうが段違いによく、お湯を沸かすだけではなく
調理にも使う僕としては、不安定な3本のほうで使うことはないでしょうね。
そもそも重量73gの3本ゴトクの状態で使うならば、以前から発売されている
マイクロレギュレーターストーブ「SD-300」があるわけで、そちらは重量は67g。
わずか6gしか変わらず、「SD-300」のほうが値段も安いし、
なによりも取り外した小さなゴトクを紛失する心配がないですからね。
山で実際に使うには、この「紛失」問題は、大きい気がします。
ちなみに、新型ストーブでは外した3本ゴトクは付属のケースに
入れるようになっています(下の写真の左側)。
このケースがけっこう大型で、破損防止のために頑丈な構造。
そのためにクッカー内に収納しきれないことも多く、かといってこのケースに
ゴトクを収納しないと速攻で紛失するのは目に見えていて、
ケース自体のデザインも少し変えてくれるとよさそう。
4本ゴトクはバーナーヘッドに組み合わせて収納でき(上の写真の本体部分)、
このケースでも収まりはなかなかいいです。
考えるに、この新型ストーブは4本ゴトクを基本(使用時87g)にして、
軽量な3本ゴトクはオプションにして販売しないと、
商品としての魅力が低く、ほしい人があまりいないかもしれません。
結局、4本ゴトクを買い増さないとメリットが少ないですから。
面白くて便利なアイテムだけに、そこがちょっと残念です。
ガス関連の法律の問題とか、いろいろあるんでしょうけれど‥‥。
しかし、性能はさすがマイクロレギュレーターストーブだけあって、
写真のように冷たい雪の上に直置きしても、火力は安定。
冬にガスストーブを使うなら、第一の候補に挙げられるかと思います。
最後に、コンプレッション系タイツ、C3fit「サーマルロングタイツ」。
僕はいつもここのタイツを使っていますが、この寒冷期用のモデルは初めて。
冬場は通常、ウール製のタイツを愛用しており、
コンプレッション系は使っていなかったのです。
というのも、肌が乾燥するとものすごいかゆみを感じる僕は、
速乾性のタイツと相性が悪いから。皮膚の表面が冷たくなり、
空気が極度に乾燥している時期に速乾性のタイツなんて、ありえない選択。
以前は足をかきむしりながら歩いて、血だらけになったこともあるくらいで。
だから今回も、いつでも脱いで履き替えられるように
ウールのタイツをバックパック内部に入れておきつつ、
このタイツを試してみたのでした。
絶対にかゆくなるだろうと、覚悟しながら。
ところが、今回はかゆくならなかったんですよ。
考えられるのは、一般的なコンプレッション系タイツよりも、
いわゆる着圧が緩いというか低く、過度の擦れがなかったこと。
さらに今回はこの上にソフトシェルのロングパンツをはいていたので、
タイツを外部にむきだしではくよりも、いくらか潤いを残せたからかもしれません。
もちろん、使われている繊維の性質もあるでしょうね。
ただ、今回はまったく問題がなかったとはいえ、
もう少しシチュエーションを変えて使ってみないと、まだ判断できません。
ほかにもいくつかの新しい道具を使ってみましたが、
うまく写真が撮れなかっったこともあり、これにて終了。
いずれにせよ、どれも長く使い込んだわけではないので、
あくまでもファーストインプレッション的な僕個人の感想にすぎません。
実際はもっとすばらしいものかもしれないし、
今回はわからなかった欠点が判明するかもしれないし。
こんな感じで、新しい道具を試してみながらの
山中ひとり、年末の山行なのでありました。
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